[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2019年8月2日リリース]
- 「ブランコ」◆◆◆
- 「古民家探し」◆◆◆
- 「サバイバルゲーム」◆◆◆◆
- 「御井戸様」◆◆◆◆
この『43』は、前巻『42』からそのまま安定感のある“飛行”を継続している印象だ。ともすれば「安定感」は恐怖感を削ぐ結果になりかねないが、本シリーズが「恐怖」よりも「楽しさ」に重きを置いていると考えれば、悪くない傾向といえる。
「ブランコ」はナンパに失敗したふたりの若者が帰り道で怪異に遭遇する。一発芸のようなワンアイデアの現象にもかかわらず、なかなかのインパクトだ。落としどころは“この世ならざるモノ”の仕業だが、そうでなかったとしても、それなりに怖いところがポイント。いわくも語られるが、例によって蛇足のように思う。こういう現象こそ、不条理さを追究したほうが恐怖感は高まったはずだ。
「古民家探し」は、古い物件を探していた女性が恐怖の体験をする。このエピソードでも怪異の背景が語られるが、むしろ背景のほうにこだわりを見せる。その内容はなかなか興味深いものの、肝心の怪奇現象にあまり怖さを感じないのが惜しい(そういう趣旨の作品であることは理解できるのだが)。
「サバイバルゲーム」は、サバイバルゲームを楽しんでいた投稿者が恐るべき現象に巻き込まれる。あきらかに殺意を持ったモノが突進してくるのは、かなりの恐怖。そこは出色の出来栄えだ。このエピソードも「なぜこんなことが起こったのか」が説明される。それが必ずしも作品のクォリティを下げているわけではないのだが、当ブログの好みでは、やはりここは「ワケがわからない」ままのほうが良かったと思う。
「御井戸様」は、民族学に興味を持つ若者が旅行先でとんでもないモノに遭遇する。表題作を観る際は、いつも博打のように期待と不安が入り交じる。今回は吉と出た。「部外者の外出を禁止して行なわれる秘儀」という状況が恐怖のムードを盛り上げていく。核心部分は他の心霊ビデオシリーズで見かけたようなシロモノだが、臆面なくやってのけるところに本シリーズの潔さを感じる。賛否は分かれそうだが、当ブログは支持したい。
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