[構成・演出:藤本裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江暁、岩村修/演出補:男鹿悠太、美濃良偲/構成協力:新津徳也/編集協力:美濃良偲/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2025年3月7日発売]
- 「ドキュメント」★★
- 「テレビ朝会」★★★
- 「待ち合わせ」★★★
- 「Missing 前編」★★★
- 「遮断機」★★★
- 「バックヤード」★★
- 「ライブ配信」★★
- 「Missing 後編」★★★
中編「Missing」(★★★)の投稿映像に記録された怪異はオーソドックスな印象で、取材においても目新しいことが起こるわけではないが、演出・藤本氏のストーリーテリングの安定感は評価に値すると思う。怪異がオーソドックスなのは怖さよりも悲しさに焦点を当てているせいかもしれない。また、作品の評価とは別に、問題の人物が亡くなっている証拠はないのにバケモノ扱いしていいのか疑問が残る(ほかにも、調べるべきモノをなおざりにしていたり、調査の甘さが目立つ。もっとも、これは意図的なものかもしれないのだが)。
「ドキュメント」(★★)はドキュメンタリー作品がおさめられた映像に怪異が記録される。やはりオーソドックスな現象といえるが、その場にいたら恐怖というよりかなり混乱することだろう。あとから背筋が凍る、といったところか。
「テレビ朝会」(★★★)は廃校となった学校で見つかったビデオテープに不気味な存在が映り込む。本作も現象そのものは手垢がついているうえ、〈出現域制御〉の問題もあるのだが、廃校で見つかったという経緯から、映像全体に剣呑な雰囲気が漂っているのがよい。
「待ち合わせ」(★★★)は友人がSNSで知り合った男性と会うために待ち合わせをする様子をおさめたもの。そこで投稿者たちは怪異に遭遇する。映像はそれなりに恐怖を催すが、本作も〈出現域制御〉であることを鑑みると、異形とおぼしきモノはかなり滑稽なふるまいをしていることになるのだが。
「遮断機」(★★★)は投稿者が祖父母と道を歩く様子を撮影していると恐るべき体験をする。ナレーションは「おわかりいただけただろうか」ではなく「おわかりいただけたかと思う」であり、近年では珍しい“一発芸”のような怪現象。それだけにかえって新鮮さを感じる。一般にいわくが語られすぎると興ざめするが、本作はいわくの付け足しがうまく利いている。
「バックヤード」(★★)はダイニングバーのバックヤードを撮影した監視カメラの映像に怪現象が映り込む。平凡かつ地味な現象といえるが、一方で細部に注目すると心霊現象の知られざる特徴をとらえているとも解釈できる。その意味では貴重な映像なのかもしれない。
「ライブ配信」(★★)は林間学校の夜に宿の部屋でライブ配信をしていると異形らしき存在が映り込む。興味深い映像ではあるが、なんとなく理屈めいたものを感じる。厳密にいえば〈出現域制御〉ではないものの、スマホのカメラの狭い画角にうまく異形がおさまっているのは話がうますぎると思う。




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