[構成・演出:マキタカズオミ/演出補:江原大介・中村真沙海・久木香里奈/演出協力:菊池宣秀・藤本裕貴/ナレーション:中村義洋/2021年7月7日発売]
- 「酬い」★
- 「高速道路」★★
- 「おまじない 前篇」★★
- 「滑落」★
- 「ふらちな奴」★
- 「誘うもの」★★★★
- 「おまじない 後篇」★★
初見で怪異を見つけられない作品が多い。パート90あたりから、シリーズ黎明期のテイストにもどっていることを考えると、「ホンモノはわかりやすく出てきてはくれない」という世界観をあえて採用しているのかもしれない。
長編・取材モノの「おまじない」(★★)は、シチュエーションや現象に目新しさはない。一方で、問題のありそうな人物が類型的でなかったりと、新機軸を取り入れようとする制作姿勢も見える。そこは好意的に評価したい。
「酬い」(★)は、いじめが行なわれる様子を撮影した映像に、奇妙なモノが映り込む。不快感を催すシチュエーションだが、ホラーとして正解ではあろう。ただ、事前に怪異の内容を説明されているのにもかかわらず、初見では見逃してしまった。かりに見逃していなくても、それほど驚きのある現象ではない。
「高速道路」(★★)は、高速道路に設置された監視カメラが不可思議な現象をとらえる。やはり初見で見つけるのは難しい。ありふれた現象ではあるが、合わせ技で恐怖度を高めている点はよい。ナレーションでいわくが語られるが、観る者の想像にまかせてもよかったように思う。
「滑落」(★)は、山の頂上で行なわれた安全祈願の様子を撮影した映像に、不気味なモノが記録される。初見で見逃し、何度かリプレイしてもらってようやく発見。それほど微妙なモノを投稿者はどうやって発見したのか疑問が残る。はっきりと映っているわけではなく目の錯覚との説明もつきそうだが、その微妙さは制作者の意図どおりかもしれない。
「ふらちな奴」(★)は、バーの個室で盛り上がる男女に混じって、異様なモノが現われる。パート6の「オーディションビデオ」を彷彿させるシチュエーションと怪現象。問題点(〈出現域制御〉)も同じだ。異形の造形は本作のほうが凝ってはいるのだが。
「誘うもの」(★★★★)は、畑仕事をしている祖母を撮影していると、恐るべき存在を目撃する。本パートの白眉といえる映像。「撮影者が異形の存在に気づく」「映像を観る者にもはっきり怪現象を認識できる」「ナレーションで怪異の背景があまり説明されない」と、他の作品とはまったく対照的な内容になっている。あきらかに恐怖度が高く楽しめる。
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