[構成・演出:藤本裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江暁、岩村修/演出補:男鹿悠太、木勢まりあ、美濃良偲/演出協力:菊池宣秀/編集協力:新津徳也/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2024年8月7日発売]
- 「残響」★★★★
- 「継承」★★★★
- 「シリーズ監視カメラ 不法侵入」★★★
- 「終・呪いのビデオ 前編」★★★★★
- 「通りすがり」★★★★
- 「ハレの日」★★★
- 「ミスコン」★★★
- 「終・呪いのビデオ 後編」★★★★★
「終・呪いのビデオ」(★★★★★)は「シリーズ存続の危機」という触れ込みだったが、前巻まではその理由がわからなかった。たしかに本巻を観れば納得できる。しかし、舌の根も乾かぬうちに“呪いのビデオ”とやらの映像をわれわれに見せつけているわけだから、ふりかえってみれば大いなるギャグのような作品だったことがわかる(なぜわれわれに見せるのか、意味がわからない。ナレーションで言い訳じみたことは語られてはいたのだが)。とはいえ、もちろんそれはマイナスではなく、「笑いと恐怖は紙一重」の法則をここでも確認できる。その点で良作といえるだろう。肝心の“呪いのビデオ”の出来栄えも、心霊ドキュメンタリーの雄の面目躍如といった趣だ。さらに、「ビデオの拡散」というモチーフやメタフィクション的な物語構造は、本家(?)へのオマージュでもあろう。そこも注目ポイントになる。
「残響」(★★★★)は心霊スポットのトンネルで恐るべき体験をする。ビックリ系の怪異だが、それまでの段取りやいわくがうまく利いているのが好感触だ。
「継承」(★★★★)は赤ん坊を映した映像に異変が起こる。見るからに不気味であり、かつ珍しいパターンのようにも思える。一方で、そこはかとなく滑稽さも感じさせ、味わい深い一編だ。
「シリーズ監視カメラ 不法侵入」(★★★)は廃虚の民家に設置した監視カメラが怪異をとらえる。不法侵入者のふるまいもどこか滑稽さを感じる。ただ、現れる異形が〈刹那像〉である点が惜しい。
「通りすがり」(★★★★)はひとりで肝試しをしている男性が撮った映像に奇妙な存在が記録される。本作も珍しいパターン。新たな心霊現象の概念を提示しているようにも思える。新しい概念という意味では過去作に近いかもしれない。
「ハレの日」(★★★)は結婚式の様子を撮影した映像に奇怪なモノが映り込む。本作もいわくが蛇足ではなく恐怖感をあおることに一役買っている。異形は前巻の作品に出てきたモノに似ている気もする(もちろん、まったく無関係だと思うのだが)。
「ミスコン」(★★★)はミスコンテストのプロモーション映像に奇妙な現象が記録される。およそバケモノの類が現れそうもない雰囲気の映像に怪異が紛れ込み、一気に不穏な空気が漂うところが興味深い。



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