[演出:藤本裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江暁、岩村修/演出補:男鹿悠太、木勢まりあ、渡辺凌駕/演出協力:菊池宣秀/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2024年3月6日発売]
- 「沐浴」★★★★
- 「ケモノ」★★★
- 「骸の知らせ 前編」★★★★
- 「回転」★★
- 「車中泊」★★
- 「残骸」★★
- 「骸の知らせ 後編」★★★★
中編「骸の知らせ」(★★★★)の投稿映像に映る怪現象は怖くないが(パート1〜2あたりを彷彿とさせる素朴な感じ)、本作は恐怖に重きを置いていないことが徐々にわかってくる。ホラーというよりミステリーといった趣で、白けることなく画面を観続けることになるから、良作と評価できる。もうちょっとわかりやすく「知らせ」てくれてもいいのでは? と思ったものの、いちおう成果にはつながっているから、精いっぱい「知らせ」てはいたのかもしれない。
「沐浴」(★★★★)は赤ちゃんの人形を使って沐浴の練習をしていると奇怪な現象に遭遇する。映像も十分に不気味だが、怪異の背景にあるものをいろいろ想像すると怖いというより物悲しい気持ちがわいてくる。作中では詳細は語られず、観る者に妄想する余地があるのがよい。
「ケモノ」(★★★)は山林に隣接する住居の庭で撮られた映像。動物とともに得体のしれない存在を目撃する。われわれが知っている心霊現象とは“毛色”が異なっている。本シリーズの過去作で類似のものが紹介された記憶はなく、なかなか興味深い。
「回転」(★★)は旅先で撮られた映像に奇妙なモノが映り込む。異形とおぼしき存在がしれっと現れるのがおもしろい。いわくが語られすぎるのが難点か。
「車中泊」(★★)は投稿者の親子が天体観測に出かけた山あいで撮られた映像。まず音(声?)の不気味さが印象に残るが、合理的な説明ができそうでもある。また、通常では考えられない人影らしきものも映り込む。こちらは、もしも幽霊の類が存在とするならば、このように映るのではないか。そう思うと興味深い。
「残骸」(★★)は博物館でカメラを回していると、昔の日本家屋を再現した展示物にこの世ならざるモノの姿が映り込む。やはり絵に描いたような幽霊といった趣で、意外にも凡庸さよりもむしろ新鮮さを感じる。



この記事へのコメントはありません。