最後まで飽きることなく画面に釘付けになるから、けっして駄作ではない。むしろ良作といえる。巧みなストーリーテリングや小気味よい編集のリズムなどはもっと評価されるべきだろう。
しかし一方で、本シリーズを観つづけている者としては、本作に対して「間違ってないけど正解じゃない」という想いを抱いてしまう。
物語はわれわれの期待を裏切らない。だから、安心して楽しめる。だが、「安心」というプラスの感情は、ホラー作品と相性が悪い。観る者の“期待”に応えてはいけなかったのだ。
これまでのシリーズ作品にはあったのに、本作には欠けているものが2つ。それは〈恐怖〉と〈驚き〉だ。
本シリーズは、ホラーコメディというべきジャンルで、つねに体を震わせながら鑑賞する類いの作品ではない。それでも、過去作にはわずかでも〈恐怖〉するシーンが含まれていた。しかし本作にはそれがない。
面白い要素はそこかしこにちりばめられている。もしもこれまで本シリーズを観たことがなかったとしたら、かなり楽しめたことと思う。しかし、シリーズを愛好する者ほど、それらの要素に二番煎じの感を抱いてしまう。つまり〈驚き〉がない。
〈恐怖〉や〈驚き〉がないのは、観る者の目が肥えてしまったせいもあるだろう。本シリーズを堪能しすぎた結果ともいえる。いわば観る者のわがまま、ぜいたくな悩みなのだ。
それでもやはり、本シリーズのファンとしては「裏切ってほしい」と願ってしまう。
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