〈ほんとにあった!呪いのビデオ〉シリーズは、巷にあふれる心霊系投稿ビデオの元祖であり、いまなお新作がリリースされ人気を集めている、このジャンルの雄である。
ここで告白せねばなるまい。じつは、当サイトは本シリーズを観て呪いにかかってしまったことがある。もっと正確に記せば、「これを観た者は失踪したり高熱を出したりしてしまう」と言われている映像を観たあと、ほんとうに発熱して寝込んでしまったのだ!
にもかかわらず、当サイトは本シリーズの映像はすべてニセモノであるという立場に立つ(当サイトがかかった“呪い”がホンモノでないと考える理由は最後に述べる)。
「もしかしてホンモノかも?」と思わせる、ほどよいリアリティが本シリーズの魅力だ。
もしこの世に〈霊〉や〈呪い〉というものが存在し、なおかつ映像におさめることができるとしたら? ここでは、あくまで本シリーズがホンモノであると仮定し、現在リリースされている作品のなかから当サイトがオススメしたい映像を厳選して紹介する。恐怖の度合いによって順位も付けてみた。
ぜひ作品選びの参考にしてほしい。
【おことわり】
このページでは、批評・研究を目的として心霊映像のキャプチャー画面を掲載しております。“霊障”を受けやすい方や気の進まない方は閲覧をご遠慮ください。ご覧いただいた後、不可解な出来事や霊的現象が起きた場合、こちらでは一切の責任を負いかねます。また、本シリーズはフィクションであるという考えから、お祓いを済ませておりません。
恐怖レベル〈ノーマル〉:異界のモノのふるまいに怯える
イメージイラスト:タガッシュ(@tagassyu)
まずは、恐怖の度合いが〈ノーマル〉のものを順に挙げていこう。「ノーマル」といっても、ふつうに怖い作品ばかりで、映像のクォリティーは高い。どれも良作だ。
【第42位】白い着物の女
構成:中村義洋・鈴木謙一
©1999 NSW/パル企画
引っ越し作業を終えたばかりの若い夫婦が、友人たちと酒を飲みながら談笑している。部屋の片隅に置かれたテレビの画面に不可解なモノが映る。
記念すべきパート1で最初に取りあげられている作品。投稿された映像そのものは、それほどインパクトのある内容ではない。
しかし、スタッフが映像の撮られた部屋に実際に足を運び、怪異の原因を検証する。その結果、不可解さが増していく。そのじわじわと背中を這いあがってくるような静かな恐怖が魅力だ。
本シリーズにありがちなニセモノっぽさがまったくない。とても完成度の高い作品といえる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ』(パート1)に収録
ほんとにあった!呪いのビデオ「白い着物の女」 – YouTube
【第41位】疾走!
演出:坂本一雪
©2004 NSW/パル企画
とあるカップルが、心霊スポットとして知られる廃病院を訪れる。建物が封鎖されていたため、あきらめて引きかえそうとしたとき、〈それ〉が投稿者たちに向かってくる。
この映像は、テレビやインターネットで目にした人も多かろう。
よくよく考えると、けっして怖い作品ではない。むしろ笑いを誘う面もある。しかし、「〈恐怖〉と〈笑い〉は紙一重である」というホラーの原則にのっとった作品であるといえる。
見た目のインパクトはなかなかのもの。投稿者たちが逃げ出さずに、そのまま〈それ〉と衝突していたら、どうなっていたのだろう? この異形のモノを捕まえられなかっただろうか。そうすれば“世紀の大発見”になっていたかもしれない。まあ、そこまで求めるのは酷な話か。
『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 5』に収録
【第40位】鏡の中
演出:福田陽平
©2006 NSW/パル企画
三面鏡の前で遊んでいる子ども。鏡には子どもの姿が映っているが、予想もつかないことが起こる。
この映像もすでに目にした人が多いだろう。
ほんとうにちょっとした異変なのだが、衝撃はかなり大きい。かりにこれが心霊現象だったとしても、意味するところがまったくわからず、そこに言いしれぬ不気味さが漂う。
惜しむらくは、初期の作品であり、異変の部分は静止画になっている。わずかでも動いていれば、恐怖はもっと高まっただろう。
『ほんとにあった!呪いのビデオ21』に収録
【第39位】ビデオレター
演出:福田陽平
©2005 NSW/パル企画
単身赴任をしている夫のために、息子が遊ぶ様子を撮影したもの。そこに奇怪なモノが映りこむ。
これも多くの人にすでに知られていると思われる作品。
「あれ、なんか変?」という思いが頭をよぎった次の瞬間に〈それ〉が動きを見せる。その完璧なタイミング。初期の良作のひとつだ。
映ったモノからは悪意ではなくむしろ好意を感じる。だが、そこが恐ろしい。あの世のモノの好意が、この世で生きる人間にとって幸福とは限らないからだ。
じつは、冷静に観察すると、異形はあとから合成していることがわかる。しかし、構成とタイミングの巧みさは、その問題を補ってあまりある。
『ほんとにあった!呪いのビデオ18』に収録
【第38位】廃病院
構成:中村義洋・鈴木謙一
©2000 NSW/パル企画
若者たちが肝試しに行った際、道に迷い、廃病院に迷いこんでしまう。
これはきわめて貴重な映像だ。なにせ霊らしき存在とコミュニケーションをとっている様子がおさめられているのだ。
ただ、肝心なところでカメラを下に向けてしまったのは惜しい。一部始終が映っていれば、科学の常識を根底からひっくりかえすほどの衝撃を与えただろう。
『ほんとにあった!呪いのビデオ6』に収録
【第37位】雨の死者
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
若者が部屋で酒盛りをしている。玄関先に不審な男が立っていたため、撮影者は怒号をあげながら近づいていく。
第38位の「廃病院」で、撮影者たちにやってほしかったこと。すなわち〈霊〉とのやりとりを撮影する――当サイトのその宿願が13年の時を経て本作でようやく叶えられたことになる。
撮影者は相手が異界のモノとは思っていない。だから、この映像が撮られたのは偶然なのだが、たいへん貴重なものと言っていい。あの世のモノの正体を垣間見ることができる。
ただ姿を見せただけでなく、ほかにも興味深い現象が起こっている点にも注目したい。
『ほんとにあった!呪いのビデオ52』に収録
【第36位】夜の散歩
演出:坂本一雪
©2004 NSW/パル企画
夜、犬の散歩をする様子をケータイで撮った映像。なにげない道路の片隅に、異形は潜んでいた。
ケータイで撮影した映像なので、画質が悪くカクカクしている。だからこそ、日常の風景なのに剣呑な味わいが付けくわわり、異形のモノが入りこむ隙を与えている。
いま目の前に確実にいたであろう実在感。それが本作の恐怖ポイントになる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ12』に収録
【第35位】焼け残った怨霊
演出:福田陽平
©2006 NSW/パル企画
若い男女のグループが廃墟の病院を探索していると、意表を突いた出来事に遭遇してしまう。
撮影している場所は廃墟の病院。ちょっとした物音、わずかな光のゆらぎ。そんな些細なことが恐怖の対象になりそうな雰囲気だ。
実際に起こるのは、見間違いや聞き間違いといった臆弱な現象ではない。たしかに〈それ〉は目の前に存在し、確実に撮影者たちを認識していて、なにか確固たる意思を持っている。有無を言わさぬ恐怖が観る者を待ちうけるのだ。
これも、投稿者たちが勇気を出して現れたモノを捕獲できていれば、“ノーベル賞クラスの大発見”になっていたのだが……。
『ほんとにあった!呪いのビデオ20』に収録
【第34位】頭のおかしい女
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
夜、恋人と心霊スポットの路線跡を探索。やがて恋人の女性が異様なことを口にしはじめ、撮影者が訝るうちに〈女〉は現れる。
撮影場所が心霊スポットというだけで不気味な空気が漂う。恋人の様子もどこか変だが、「頭のおかしい」のは彼女ではない。
本作はじわじわくる恐怖ではなく、いわばビックリ系。異形のモノの造形でもしっかり怖がらせてくれる。
ほんとにあった!呪いのビデオ「頭のおかしい女」 – YouTube
『ほんとにあった!呪いのビデオ49』に収録
【第33位】夜景
演出:児玉和土
©2010 NSW/パル企画
恋人とデートをしている様子をカメラにおさめた映像。夜景を映しているとき、不穏な黒い影が現われる。
そこは心霊スポットではない。なんの変哲もない公園だ。にもかかわらず、異界のモノが入りこむ。まさに日常と隣りあわせにある恐怖。
あきらかにこの世のモノではない存在が、撮影者たちに狙いを定めて行動している。その悪意が恐ろしいのだ。
『ほんとにあった!呪いのビデオ38』に収録
【第32位】『不気味な女』後日談
演出:児玉和土
©2008 NSW/パル企画
パート25の「不気味な女」を観ているとき、映像の〈女〉が部屋に現われる。
ビデオのなかの怪異が現実に侵食してくるのは、じつは本シリーズでしばしば起こることだ。
この作品が卓越しているのは、異形のモノの存在感だ。部屋のなかに確実に「いる」という実感。しかもそこは自宅なのだ。それだけ〈女〉の邪念が強いのだろうか。
よりにもよって、なぜこんなときにカメラを回していたのか。黙って作品を観ることに集中していれば、〈女〉は現われなかったかもしれない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ30』に収録
【第31位】肝試し 後編
演出:児玉和土
©2009 NSW/パル企画
心霊スポットで肝試しをしている様子をとらえた映像。
もしこの世に〈呪い〉というものが存在し、目に見えるカタチで表われるとしたら、こんな感じになるのかもしれない。
本作の〈呪い〉は、撮影していたカメラのSDカードに記録された。デジタルのデータを書きかえてしまうほど強い情念ということか。
事象そのものは、ほかの作品で起こるものに似ているかもしれない。しかし、情念の強さがはっきりと映像に残っているため、思わず目を背け、耳をふさぎたくなる衝動に襲われる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ35』に収録
【第30位】Twenty Seven 前編
演出:児玉和土
©2009 NSW/パル企画
毎年、誕生日になると奇妙なビデオテープが送られてくる。そこには、山奥の廃墟と化した山荘とおぼしき映像がおさめられていた。
何者かから毎年ビデオテープが送られてくる――このエピソードだけで十分に不可思議だが、映像の内容もなかなか不気味だ。
延々と廃墟の映像が映し出される。撮影の目的はわからない。だから、廃墟そのものより、撮影者の“邪心”ともいうべき感情に、観ている者は恐怖を覚える。
心霊現象も、起こる。観る者を驚かせる類ではない。じわじわと冷気が忍びよる。にもかかわらず、たしかな気配。異界のモノがそこにいる、という確信。
観る者の心のなかに生まれる静かな恐怖が、本作のエッセンスになっている。
『ほんとにあった!呪いのビデオ32』に収録
【第29位】黒死女
演出:児玉和土
©2010 NSW/パル企画
恋人たちが温泉旅館に泊まった日の翌朝。男の布団をめくると、奇怪な〈女〉が睨んでいた。
見知らぬ人間が布団に潜りこんでいた――ごく短い時間の映像だが、錯覚や勘違いで済ませられない厳然たる事実がおさめられてしまっている。
しかも、相手がこの世のモノでないことは、その風貌からあきらかだ。これもごまかしようのない事実。
まったく唐突に、なんの前触れもなく日常の世界に侵攻してくる怪異には、なすすべもない。その点がもっとも恐ろしい。
『ほんとにあった!呪いのビデオ38』に収録
【第28位】邪願
演出:岩澤宏樹
©2011 NSW/パル企画
投稿者が恋人と神社へ行った際に撮られた映像。なにげなく絵馬を映したとき、〈それ〉は起こる。
「びっくりする」と「恐怖する」はイコールではない。だから、ただ驚かされただけなら評価はしない。
だが、本作はビックリ系でありながら、核心の前にワンクッションあり、それが大きな効果を上げている。
〈それ〉の起こるタイミングがじつに秀逸。わずか1秒でも遅れていれば台無しになっていただろう。
とはいえ、ふと冷静になり、〈それ〉が果たして心霊現象だったのかといえば、首をかしげたくなるところはある。
『ほんとにあった!呪いのビデオ42』に収録
【第27位】逢魔時の怪
演出:岩澤宏樹
©2011 NSW/パル企画
ときは夕暮れ。季節はずれの海ではしゃぐ恋人をとらえる。そのかたわらを映すと、不可解な〈女〉が立っていた。
まったく意表を突く展開。〈女〉のいでたち、ふるまい、なにもかも意味不明。いや、そもそもなにが起こったのかすら釈然としない。
にもかかわらず、観る者の心に恐怖がわきあがる。目の前の光景が理解できなくても、本能的に危険を察知した、ということか。
『ほんとにあった!呪いのビデオ45』に収録
【第26位】廃虚の演奏会
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
古い民家の廃墟で発見されたビデオテープの映像。ピアノの演奏会の様子がおさめられている。
なんの変哲もない演奏会の様子も、撮影者の素性がわからなければ、俄然、言いしれぬ不気味さが漂ってくる。
ふつうに演奏会を撮影しているように見せかけて、途中、なぜそんなものを撮っているのか疑問が生まれる部分もある。
その疑問は正解で、案の定、心霊現象が起こる。
そこに〈それ〉が現われることが、あらかじめわかっていたかのような構図。この映像を撮っていた人物は、あの世で生きる存在だったのかもしれない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ47』に収録
【第25位】不気味な置き物
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
西洋のアンティークの人形を延々と映しつづけている映像。再生スピードを上げると、表情が変化していく。
〈人形〉というものには、そこになんのいわくがなくても、どこか気色の悪さが漂う。本作では「不気味な」と前置きされているため、よけいに身構えてしまう。
なにか衝撃的なことが起こるわけではないし、起こったとしたら途端に嘘っぽくなるだろう。逆に言えば、現実にありえそうな現象だからこそ、観る者は最後まで緊張を解けないのだ。
『ほんとにあった!呪いのビデオ50』に収録
ほんとにあった!呪いのビデオ「不気味な置物」 – YouTube
【第24位】シリーズ監視カメラ 古本屋
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
古本のチェーン店の店内に設置された監視カメラ。そこに映る〈女〉はあきらかに異常だった。
シリーズも何十本とリリースを重ねると、霊とおぼしき人物が映りこむのは、もはや超常現象でなく、通常の現象になっている。
観る者も、ただ霊らしきモノが現われただけでは怖がらないし満足もしない。
だが、本作は「霊らしきモノが出現する」というオーソドックスな内容でありながら、そこにひとひねり加えているために、異様な恐怖を観る者に与える。
〈霊〉とは理屈で説明のつかない存在である――そんな、あたりまえだが、忘れかけていた真実を本作は思い出させてくれる。
ほんとにあった!呪いのビデオ「シリーズ監視カメラ古本屋」 – YouTube
『ほんとにあった!呪いのビデオ51』に収録
【第23位】遺された呪いのビデオ
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
遺品の整理業者が見つけたビデオテープ。「呪いのビデオ」と手書きされている。テープには、陸上競技の練習風景を撮影したと思われる映像がおさめられていた。
「呪いのビデオ」と書かれている時点で剣呑な雰囲気が漂う。ほんとうに「呪い」かどうかはともかく、テープに「呪い」と記す。そんな行為をした人物の精神のほうが恐ろしい。
さて、肝心の映像のほうは……? ただの練習風景でさえも、なにか不吉な意味があるのではないかと邪推してしまう。
もちろん、この世のモノではない〈なにか〉も映りこんでいる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ53』に収録
【第22位】私は誰
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
高校生がスマートフォンで友人を映した映像。友人はスマホに向かって「私はだれ?」と質問する。スマホは不可解な答えを返してくる。
スマホが奇妙な返答をしたのは、ただの誤作動――と思いたいところだが、それは本能的に安心を得ようとするための勝手な解釈にすぎない。
実際は怪異の予兆なのだった。
スマホが異界の存在を探知したのだろうか。それとも、異界のモノがスマホを操った? われわれの身近な道具がこの世でないどこかにつながっている。その事実に恐怖を覚える。
『ほんとにあった!呪いのビデオ54』に収録
【第21位】首の家
演出:岩澤宏樹
©2011 NSW/パル企画
山あいの廃墟に肝試しで訪れたときの映像。部屋の隅にいくつものマネキンの首が落ちている。カメラが首に近寄ったとき、〈そいつ〉がコトを起こす。
まず、映像が撮られたのが廃墟であること。そして、そこにマネキンの首が転がっていること。異形が訪れるためのお膳立てがしっかりできている。
〈そいつ〉は、まさかそこで!? という絶妙なタイミングで現われる。怖がるというより驚かされてしまう。
〈そいつ〉の表情は怒りに満ちている――ようにも思える。闖入者を許すつもりはないようだ。
まさに身の危険を感じざるをえない状況。そこに本作の恐怖の源泉がある。
『ほんとにあった!呪いのビデオ45』に収録
【第20位】銅像
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
夜、若者たちが公園で遊んでいる。あちこちに人の銅像が置かれているが、そのうちの1体に異変が起こる。
夜とはいえ、住宅地の公園であり、遠くには家々の明かりが見えている。まわりに仲間もいる。ちょっとやそっとの異変なら、動じることはないはずだ。霊の類にも立ちむかっていけそうな雰囲気すら漂っているからだ。
だが、本作に現われる異界からの使者は、撮影者からそんな気力を奪う。「どうにかできる相手じゃない」と、絶望感に襲われる。
強烈な悪意を持った相手の前では、仲間の存在などかすんでしまう。
『ほんとにあった!呪いのビデオ55』に収録
【第19位】足元
演出:菊池宣秀
©2014 NSW/パル企画
投稿者は大学の友人たちと、温泉地で見つけた廃屋を探索している。そこには、この世のモノでない〈だれか〉がいた。
撮影者はカメラのファインダー越しに部屋のなかを見ている。〈だれか〉の姿はカメラを通さなければ見えないのだろう。まわりの友人たちが〈だれか〉の存在に気づいた様子はないからだ。
〈だれか〉は、なんの前触れもなく不意に現われる。あまりに自然なので、その不自然さに気づくのにしばらく時間がかかる。頭のなかが整理できないうちに、〈だれか〉がふたたび姿を見せる。
その段になると、相手が尋常でない存在であることが反射的にわかる――わかってしまう。叫ばずにはいられない、恐怖の悲鳴を。
この廃屋のように、あの世とこの世の狭間では、仲間の存在はなんの頼りにもならない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ58』に収録
【第18位】ベッドの下 開かずの部屋
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
夜寝ていると、ベッドの下から奇妙な音がする。その原因を探るため、カメラをセットする。撮影した映像を確認すると、この部屋の住人でない〈そいつ〉が映っていた。
本作はホラーとしては邪道のビックリ系といえるかもしれない。しかし、映像を観終わったあと冷静に考えてみると、ただ驚かされただけではないことに気づく。
〈そいつ〉はカメラの存在を知っていた。知っててわざと映りこんだのだ。偶然ではない。
その邪悪な意志に観る者は恐怖する。
『ほんとにあった!呪いのビデオ51』に収録
【第17位】タイムラプス
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
「微速度撮影」という特殊な方法で夜空を撮影したもの。映像を早回しをするように、空模様が目まぐるしく変わっていく。ふと気づくと、不可解な〈女〉の姿が見える。
かりに人がそこに立っていたとしたら、「早回し」をしているから、一瞬でその姿は消えるはず。だが、〈女〉は長時間そこに映りつづけている。尋常でない相手であることはたしかだ。
やがて〈女〉は動きを見せる。特殊な方法で撮影されていることを考えると、ふつうの人間のふるまいではない。つまり、〈女〉は異界のモノ……。
この〈女〉もやはりカメラの存在に気づいている。その行動にはなんらかの意図があるはずだが、それがわからないのが不気味さを高める。
『ほんとにあった!呪いのビデオ55』に収録
【第16位】新年鍋
演出:坂本一雪
©2005 NSW/パル企画
家族で鍋を楽しむ様子を撮影したもの。電源をオンにしたままカメラをテーブルに置くと、不可解な〈人影〉が映りこむ。
〈人影〉の映りかたがかなり特殊。ほかに類を見ない。だから、なにが映っているのか、しばらくわからない。
〈人影〉は長いあいだそこに映りつづける。やがて異様な事態が起こっているのだと、観る者は悟る。
カメラはテーブルに置かれている。つまり、異変は撮影者とその家族のいるすぐそばで起こっていることになる。にもかかわらず、だれも気づいていない。
なぜこれほど長く異界のモノがそこにとどまっていたのか。たまたま映りこんでしまったのではなく、カメラに向かってなにかを訴えかけているようにも思える。なにを言いたいのかが不明だから、観る者は不安をおさえられない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ15』に収録
恐怖レベル〈ハード〉:異形の邪悪な意志に背筋が凍る
イメージイラスト:タガッシュ(@tagassyu)
ここからはさらに「怖い」作品を紹介していく。本シリーズの本領が発揮された傑作を集めてみた。
【第15位】井戸
演出:坂本一雪
©2004 NSW/パル企画
「自分の寿命がわかる」という噂のある井戸。井戸を映した映像に、なぜか投稿者の部屋の様子が紛れこむ。部屋には、不気味な〈女〉が立っていた。
とにもかくにも、この〈女〉が恐ろしい。心霊スポットである井戸のほうではなく、投稿者の部屋に現われたのだから。
〈女〉はこの世のモノではない。見た目からしてそれはあきらか。そんな存在が部屋に居座っては立つ瀬がない。
「どうあがいても絶望」。そんな言葉が頭をよぎる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 5』に収録
【第14位】死返(まかるがえし) 前編
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
投稿者が大学の友人と水族館へ遊びに行った際に撮影した映像。水槽の様子を映していると、唐突に不可解な映像が紛れこむ。そこには、友人と謎の〈老婆〉の姿があった。
〈老婆〉ははっきりと映っており、実在する人物のように思える。だとすると、これは心霊現象ではないのかもしれない。しかし、〈老婆〉のふるまいを見ると、尋常な相手ではないことがわかる。
一緒に映る友人に危害を加えようとしているとしか思えず、〈老婆〉が生きた人間であろうとそうじゃなかろうと、観る者は心おだやかではいられない。
本作は、長い取材モノの一部で、のちになにが起ころうとしているのか、おぼろげにわかる。そこで恐怖が一段と高まるが、この映像が持つ迫力だけでもなかなかのものだ。
『ほんとにあった!呪いのビデオ47』に収録
【第13位】誰がいなくなった?
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
とある廃墟で肝試しをしている映像。霊感のある友人にカメラを持たせて撮影させると、異様な事態が起こる。
異様な事態は2つ起こる。最初の異変は、廃墟でそんな目に遭うのは御免被りたいとだれもが思うもの。
そんな状況で、異形が現われる。姿を見た途端、逃げ出したくなる容貌。これが2つめの怪異。
もう理性的にも感情的にも身の危険を感じざるをえない。踏みこんではならぬ場所であったことを問答無用で思い知らされる。
異形のモノは生半可な想いで現われてはいない。だれに対するものかはわからないが、激しい憎悪の念を抱いている。それが映像にはっきりと表われている。
*なお、異形の正体は本作が収録されているパート55を最後まで観ればわかる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ55』に収録
【第12位】狂死のビデオテープ 続・蛮行
演出:児玉和土
©2010 NSW/パル企画
「心霊博士」と名乗る人物が持っていたビデオテープ。映像を観ると呪われてしまうらしい。
「観ると呪われる」とされているうえ、視聴は自己責任である旨の警告も出る。いやでも緊張しながら画面に向かわざるをえない。
「呪われる」映像が必ずしも不気味である必要はないが、本作には本能的に観るのをためらわせる雰囲気が漂う。
だれかが意図的に撮影・編集したような気配があり、怪異が偶然に映りこんだわけではないようだ。つまり、作りものっぽい。
逆に考えると、「呪い」を作為的にテープにおさめたということになり、また別の恐怖感がわきあがってくる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ39』に収録
【第11位】続・邪心 後編
演出:菊池宣秀
©2014 NSW/パル企画
ネット上で「死神」と名乗り復讐の依頼を受けている人物がいる。その人物の関係者から入手した映像。復讐したい相手に見せると、不幸になるという。
本作も事前に警告が出て、“危険性”があることを知らされる。それによって、観る者の心のなかに恐怖の下地のようなものを強引に作らされる。そこで見せられる映像は、どんな内容であっても不気味さを感じざるをえない。
映像だけを観ると、そこに映る〈女〉はなんとも異様。だが、スタッフの取材をふまえれば、〈女〉の素性はなんとなくわかる。だからこそ、得体の知れない相手に対するものとは異なる感情が、観る者の心に宿る。それは、恐怖というより嫌悪感に近いものだ。
『ほんとにあった!呪いのビデオ59』に収録
【第10位】溶怪 前編
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
ケータイに撮った覚えのない映像が残っていた。
これまでさんざん〈霊〉とおぼしき存在が映る映像を観てきた。本作に現れる〈女〉が〈霊〉なのかは釈然としない。そのふるまいがほかの〈霊〉とあまりにもちがいすぎるからだ。それでも、ふつうの人間でないことだけは、この映像から断定できる。
いままで見たことのない“心霊現象”。そこから生まれる恐怖もほかでは味わえないものだ。
こんな異界のモノも存在する――それがあきらかになるだけでも、この映像は貴重な資料といえる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ51』に収録
ほんとにあった!呪いのビデオ「溶怪 後編」 – YouTube
【第9位】飛ぶカメラ
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
投稿者の女性が自宅で職場の同僚たちとタコ焼きパーティーをしている。突如、カメラが手から飛び、ハンガーラックの下に入りこむ。そこには奇怪な〈顔〉が覗いていた。
まず、カメラが勝手に飛ぶのが不可解。ここに映るモノは、物理的にカメラに働きかけたのだろうか?
そして、パーティーをしているのはせまい部屋。つまり、投稿者たちのすぐそばに奇怪な存在がいたことになる。
いつからそこにいたのか? まだ部屋にいるのか?(消えたところは映っていない。) 次々と疑問がわいてくる。
なぜそんなことが気になるのか。それは、われわれの身のまわりにも起こりうる――いや、すでに起こっているのに気づいていないかもしれないからだ。
そんな不安をいつまでも消しさることができないところに、本作の恐怖がある。
『ほんとにあった!呪いのビデオ55』に収録
ほんとにあった!呪いのビデオ「飛ぶカメラ」 – YouTube
【第8位】悪人
演出:岩澤宏樹
©2013 NSW/パル企画
焼身自殺を図った女が自分の死に際をビデオで撮影していた。
映像そのものは、ただ人が燃えているだけだから、それほど恐怖は感じない(ホンモノだとしたら陰惨だが)。
背筋にうすら寒いものを感じるのは、自殺の動機と映像を撮影した理由だ。スタッフの取材によって、わずかながらあきらかになる。
女はそうとう強い恨みを抱いている。その負の精神に真正面から向き合わなければならないことが恐怖なのだ。
いつしか女に同情する心が芽生えはじめ、壮絶な自殺の場面に憐れみの情がわいてくる。恐ろしい。女の痛みに共感できるからこそ恐ろしい。
ただの心霊現象とはまた異なる恐怖が観る者を襲うのだ。
『ほんとにあった!呪いのビデオ55』に収録
【第7位】続・冥界へとつながる森
演出:児玉和土
©2009 NSW/パル企画
投稿者の娘が母親の誕生祝いのために撮影したビデオレター。そこに不可解な映像が挿入されている。
なんの変哲もない映像に奇怪な映像が挿入されるのは、じつはよくあるパターンだ。
本作の特徴は、映るモノの正体がはっきりしないこと。素性がわからないから映像に映りこんだ理由も不明。なんらかの悪意があることはまちがいなく、観る者は不安に似た感情を抱いてしまう。
映像の意味するところはわからなくても、本能的に危険を感じさせる強烈な印象。観てはならぬものを観てしまったという後悔の念もわきあがる。
どうすれば危険を避けられるのか。その手がかりがつかめないから、恐怖心しか残らない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ31』に収録
【第6位】リベンジ 後編
演出:菊池宣秀
©2014 NSW/パル企画
ラブホテルで恋人を撮影したとおぼしき映像。途中で奇妙なカットが紛れこむ。
ふつうの映像に奇妙な映像が紛れこむ。第7位の「続・冥界へとつながる森」などと同じパターンだ。
本作がほかの作品より恐怖を覚えるのは、映像よりも音だ。人工的ともいえる不協和音。なぜそんな音が鳴っているのかは不可解だが、観る者を不安にさせるのはまちがいない。
そして、映像には不気味な容貌の〈女〉が映りこむ。素性のわからぬ女ではない。スタッフの取材によって、この〈女〉は元の映像に映るラブホテルの女性と同一人物であることがわかる。
異界の〈女〉は、この女性の変わり果てた姿なのか? おそらく彼女はもはやこの世のモノではない。女性を憐れむべきか、怖がるべきか。観る者の心はその狭間で揺れうごくことになる。
『ほんとにあった!呪いのビデオ56』に収録
【第5位】呪われたホーム・ムービー
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
観ると呪われると噂になったビデオテープの映像。
「呪われる」とされてはいるが、邪悪な意図を持って撮影されたのではなく、ふつうの映像になんらかの悪意が紛れこんでしまったもの。
子どもたちが公園の遊具で遊んでいるところに、この世のモノではないとおぼしき人物(おそらくこれも子ども)が映りこむ。
本作の核心部分は、漫然と観ていると気づかないかもしれない。最後まで目を凝らして観ていただきたい。ゆめゆめ、まばたきをして見逃すことのないように。「呪われる」と言われている理由もうなずけるはずだ。
問答無用で異界のモノの邪心が入りこんだ映像。観る者に逃げ場は残されていない。そこに本作の恐ろしさがある。
『ほんとにあった!呪いのビデオ50』に収録
【第4位】続・嫉妬
演出:岩澤宏樹
©2012 NSW/パル企画
投稿者の母親が隠し撮りした映像。投稿者の同級生の父親と言いあらそっている様子がとらえられているが、そこに不気味な〈顔〉が現われる。
本作の〈顔〉も、第6位の「リベンジ 後編」と同様、だれのものかはわかっている。わかっていても――いや、わかっているからこそ恐ろしい。
異様な形相は、タイトルにあるように「嫉妬」によるもの。そんな忌むべき感情が〈顔〉に露骨に表われている。しかも、その感情はあきらかにカメラに向けられている。相手にとってカメラの向こう側にいるのは、映像を観る者。つまり、われわれだ。
この世のモノでない人物の負の感情がわれわれに対して激しくぶつけられている。その事実に恐怖を覚えずにはいられない。
『ほんとにあった!呪いのビデオ46』に収録
【第3位】ダビング
演出:児玉和土
©2007 NSW/パル企画
ある商品ビデオに不可解な映像がダビングされている。
ほかの作品のように、ふつうに撮影された映像に怪異が紛れこんだのではなく、全編に不気味さが充満している。
だれがなんの目的で撮ったのかは不明。とくに邪悪な意図はないのかもしれない。そうだとしても、ただただロッカーを映しつづけるというのは、まともな精神の持ち主がやることではない。
心霊現象とおぼしき異変も記録されているが、心臓が飛びあがるような衝撃的なものではない。じわじわと時間をかけて起こる変化というか……。
コトのなりゆきをたしかめようと思っているうちに、気づくと画面に釘づけになっている。それこそが、この映像を撮った者の目的かもしれない。
つい最後まで観てしまった――その事実がとてつもなく恐ろしいことのように感じられてしまう。
『ほんとにあった!呪いのビデオ24』に収録
ほんとにあった!呪いのビデオ「ダビング」 – YouTube
【第2位】ニューロシス
演出:坂本一雪
©2005 NSW/パル企画
女子高生たちが廃墟となった遊園地を探検。なにげなく立ちよった施設で恐るべき体験をする。
実際のところ、投稿者たちが遭遇したのは心霊現象ではないかもしれない。機器の故障の類――と考えられる余地もあるからだ。
かりにこれが合理的に説明のつく出来事だったとする。それでも、その場に居合わせた投稿者たちはもちろん、ただ映像を観ているだけのわれわれさえも、とにかく逃げ出したい衝動に駆られる。
そこにあるのは、あきらかに人の悪意だからだ。しかも強烈なそれ。
もしかしたら、助けを求めていた人がそこにいたのかもしれない――理性でそう考えたとしても、危険が差しせまっていることを本能が知らせている。その場にとどまるには、かなりの勇気が必要だ。
では、これが紛れもない心霊現象だったとしたら? 投稿者たちは、この世ならざるモノの邪心に触れたことになる。それもまた好ましくない事態だ。
いったいなにが起こっていたのか? くわしいことはなにひとつわからない。ただただ身を震わせるしかない――という事実にあらためて慄然とする。
ほんとにあった!呪いのビデオ「ニューロシス」 – YouTube
『ほんとにあった!呪いのビデオ15』に収録
恐怖レベル〈スーパーハード〉:あの世からの使者に戦慄する
イメージイラスト:タガッシュ(@tagassyu)
二度と観たくないし、思い出すだけで鳥肌が立つ――。そんな本シリーズ最恐の作品を紹介する。
【第1位】不気味な女
演出:児玉和土
©2007 NSW/パル企画
投稿者は、引っ越したばかりのマンションの様子を、離れて住む母親に見せるため、携帯電話で撮影する。すると、〈不気味な女〉が片隅に立っていることに気づく。
あまりに有名な映像であるため、もう少し順位を下げることも考えた。だが、本作の衝撃は「最恐のなかの最恐」と評価せざるをえない。
それにしても、この恐ろしさはただごとではない。恐怖のポイントはふたつある。
ひとつは、〈不気味な女〉がこの部屋の侵入者ではなく、“先住者”のように思えること。あとからやってきたのは投稿者の女性であって、部屋の主はじつは〈女〉のほうなのだ――と思わせるほどの貫禄がある。
となると、〈女〉が発しているのは強烈な拒絶の意志。「この部屋から出て行け」。言葉にしなくても、〈女〉の負の感情が痛いほど伝わってくる。
もうひとつは(こちらのほうがより恐ろしいのだが)、〈女〉のいる異界がけっして安住の地とは思えないこと。“あの世”は苦痛に満ち満ちている。〈女〉のいでたちは、そんな想像を観る者にさせてしまう。
人はいずれ必ず死ぬ。死後の世界がどうなっているのか、だれもわからない。死んだあと人はどんな場所に連れて行かれるのか? 図らずもこの〈女〉が教えてくれているのかもしれないが、もはや恐怖と絶望しか残らない……。
ほんとにあった!呪いのビデオ「不気味な女」 – YouTube
『ほんとにあった!呪いのビデオ25』に収録
[おまけ]なぜ“呪い”ではないのか?
冒頭で、当サイトが本シリーズを見て“呪い”にかかったことがあると述べたが、“呪い”がホンモノでないと考える理由は以下のとおりだ。
映像を観る前から体調が悪かった
おそらく問題の映像を視聴しなくても高熱を出して寝込んでしまった可能性が高い。
だから、“呪い”などではない。
ただし、こんな推論も成り立つ。
時系列上は、〈体調不良〉→〈映像視聴〉の順なので、〈体調不良〉の原因が〈映像視聴〉でないと考えるのが合理的だ(あとから起きる事象が先行する事象の原因になることはあり得ない)。
しかし、「“呪い”というのは、そんな因果律を超越する」と考えれば、〈映像視聴〉から時間を遡って“呪い”を発動させ〈体調不良〉をもたらした、という可能性もなくはない。
もちろん、それを証明することもできないわけだが。
映像を何度も視聴している
問題の映像を十数年にわたって何度も観直しているが、発熱したのは最初の1回だけ。それ以降はなにも異様なことは生じていない。
だから、“呪い”などではない。
ただし、これも次のような考えかたができる。
すなわち、いったん“呪い”にかかってしまえば、免疫のようなものができて、二度は異常は生じない。“呪い”の有効期限は1回だけなのだ。
これも証明することなどできないのだが。
同時に複数の映像を観ている
問題の映像が収録されているビデオには、複数の別の作品が収録されている。だから、その映像に原因があったとは限らない。別の映像に“呪い”が仕込まれていたのかもしれない。
この場合、“呪い”は存在したが、問題の映像が“呪い”の原因なのではない、という結論が導き出せる。
ただし、本シリーズでは同じビデオに収録された別の映像が“呪い”の原因だとは主張していない。
いずれにしても、「問題の映像は呪いの原因などではなかった」と考えるのが合理的かと思う。
さて、これまで紹介してきたように、本シリーズには「観ると(視聴者が)呪われる」とされている作品がいくつかある。
当サイトは、それらをひととおり視聴し、あまつさえ映像をキャプチャーまでしているが、いまだ身のまわりで不幸と呼べる出来事は起こっていない。
ということは——。
本シリーズはやはりニセモノ。だが、もっと重要なことは、ニセモノだとしても十分に恐ろしく、それゆえ楽しめる作品であるという事実。
そのことがおわかりいただけただろうか?
演出の岩澤さんにもご覧いただいたようです。ありがとうございます。
ほん呪などのレビューも見ましたが楽しかったです。色々参考になりました。ありがとうございます。
— 岩澤宏樹 (@hirokiiwasawa) 2018年9月16日
岩澤さんの心霊シリーズはこちら。
ほんとにあった呪いのビデオの恐怖シーン・・・怖いですね。
これまでもいろいろと心霊恐怖ビデオを見てきましたが、ほんとにあった呪いのビデオと他の作品が一線を画しているのは、リアリティが全く違う点でしょう。ま、よくよく見ると、合成しているなと思われる映像もあるのですが(合成しているとはとても思えない映像もある)仮に合成だとしてもたいへん良い出来であると言えますし、さらには合成とかCGとかではないと言える映像もあり、構成もリアリティ性が高いということで、他の作品とは比較にならないほどやらせとは思えないといえます。
これから見ると封印映像はほぼすべてがやらせとしか思えませんし、NotFoundは最初からやらせであることを主張していると言ってもいいくらいです。
とにかく今後も十分楽しめると思いますので期待しましょう。
ちなみに私は、ほん呪は6割がたがやらせだが、残りはかなりガチかなとも思っていますが、映像を見たから呪いがかかるとは全く思っていません。もしそれで呪いが掛かるであれば私などとうに呪いが掛かっています。
おっしゃるとおり、リアリティとかホンモノらしさにもっともこだわったシリーズではありますね。ただ、それが徹底していたのは、初期の中村・鈴木時代と坂本監督や児玉監督までで、岩澤さんからは怖さに重きが置かれ、リアリティは犠牲にしている観はありますね。それでもホラー作品として質が高いので評価するのですが、「ホンモノかどうか」でいえば、つくりものなのはあきらかですよね。
記事にありますが、私も20年近くこのシリーズを観てきて、“呪い”がかかったのは1度きりですから(笑)、いまは安心して楽しんでいます。
このたびはコメントありがとうございました。
もう20年近く前の話になりますが、彷徨う浮遊霊というタイトルだと思うんですが、白い服?着物?だかの髪の長い女が色々な投稿ビデオに映りこんでいるという作品で、当時住んでいた近くにあるレンタルショップから借りてきて見ていました。
全て見終わって砂嵐の画面になった時、その女が画面に映ったんです。めちゃくちゃ焦りまして、しばらく止まってしまい目が離せなくなったんですが、怖くなって消した記憶があります。
その後、別のレンタルショップで同じタイトルの巻を借りて見たのですが、そちらは砂嵐になっても何も写らず。少したってから借りたレンタルショップでまた同じものを借りようとしたのですが、見つからずとうとうそこを引っ越すことになり以来、あの砂嵐の映像を見ることはありませんでした。
特定の何本かにそういったギミックをいれていたのかな?と思いますが、手が込みすぎててあっぱれとしかいいようがありません。
私自身は霊感など全くなく、ただの怖いもの見たさで楽しんでいたクチなのですが、ギミックと決定づける証拠はないので、もしかしたら・・・という可能性を残すことで今でも怖い思い出のネタとして楽しんでいますw
私自身が確認したわけではないのですが、このシリーズは当初はVHSのビデオテープで、DVD化した際に一部のギミックがカットされているようです。もしかしたら、最初にご覧になったのがVHSで、あとでレンタルされたのがDVDだったかもしれませんね。
実際そうなのかはたしかめようがありませんが、当時はいまよりも「もしかしたら」と思わせる独特の雰囲気が漂っていたことはたしかですね。
このたびはコメントありがとうございました。
確かに相当昔でしたので、VHSのものだったと思います。
そう言われれば、納得がいきますね。
ちょうど少しずつDVDが入ってくる過渡期だったので。
今となっては冷静に考えられますが、当時はめちゃめちゃ怖かったですw
とはいえ、そのしかけがほどこされているのはパート1らしいので、ちがうかもしれません(ほかの巻にも同種のギミックが仕込まれていた可能性もありますが)。
このシリーズには、意外に“遊び心”が詰まっているんですよね。