[構成:藤本裕貴、田中翔/演出:藤本裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江充、岩村修/演出補:男鹿悠太、久木香里奈/演出協力:菊池宣秀/構成協力:新津徳也/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2022年8月6日発売]
- 「案山子」★★★★
- 「詰問」★★
- 「再会」★★
- 「終・ナガレモノ 前編」★★★★
- 「掃除機の中」★★
- 「パーキングエリア」★★★
- 「塔」★
- 「ミステリーボックス」★★★★
- 「終・ナガレモノ 後編」★★★★
夏の三部作「終・ナガレモノ」(★★★★)が完結。なかなか無難にまとめあげたという印象。煮え切らない部分を残して終わるのも悪くない。「無難」をプラスに評価するか、それそも「マンネリだ」とマイナスに考えるか。当サイトは好意的にとらえたい。
「案山子」(★★★★)は、撮影場所がとにかく不気味。それだけで“恐怖映像”として成立している。本作の核心部分は合理的な説明のつかない現象で、たしかに怖いのだが、シチュエーションの異様さが先に立ち、かえって嘘くさくなっているようにも思う。そのあたりのバランスが微妙なところだ。
「詰問」(★★)は、異形の造形が不気味——というより不気味すぎる。「そんな見た目のモノがそんなところに現われるわけないだろう」と疑問がわいてしまう。出現場所が不自然に空いているのも気になる。
「再会」(★★)は、撮影されたのが数十年前で、怪異もどこか懐かしい雰囲気を漂わせる。〈出現域制御〉の問題を感じさせるところはマイナスか。
「掃除機の中」(★★)のタイトルどおり、「なぜそんなところに!?」と大きな疑問を抱いてしまう一作。過去に見たことのない現象であることはまちがいない。理由がわからないから不気味さを感じとるか、それそも「そんなわけない」と笑い飛ばすか。観る者が感情の持って行き場を失うような映像だ。
「パーキングエリア」(★★★)の異形の現われかたは平凡だが、あきらかに投稿者の家族に“狙い”を定めている点に怖さを感じる。怪異の背景も語られるが、なにもわからないほうがより恐怖度は増しただろう。
「塔」(★)は、たしかに映るべきでないモノがとらえられているのだが、ナレーションの説明はムリがあるように思う。もちろん、真相は永久にわからないわけだが、珍しい場所で珍しい映像が撮れた、という点には価値がありそうだ。
「ミステリーボックス」(★★★★)は、呪具が入っているとおぼしい箱にまつわる映像。“なにか”が映りこむのはいわば必然。現われたモノはなかなか意表を突かれる。恐怖映像としてクォリティは高いといえよう。
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