[構成:藤本裕貴、田中翔/演出:藤本裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江充、岩村修/演出補:男鹿悠太、久木香里奈/音楽・音響効果:ボン/演出協力:菊池宣秀/構成協力:関口さと子ナレーション:中村義洋/2022年7月6日発売]
- 「盛り塩」★★★
- 「三段壁」★
- 「シリーズ監視カメラ 非常階段」★★
- 「続・ナガレモノ 前編」★★★★
- 「山道の車」★★★
- 「婚姻届」★★
- 「秘密基地」★★
- 「続・ナガレモノ 後編」★★★★
夏の三部作の長編「続・ナガレモノ」(★★★★)は、前パートに引き続き適度な緊張を保ちながら話が進み、観る者を飽きさせない。その点を評価したい。怪異は類型的であるが、本題はそこではない、と考えるべきだろう。
「盛り塩」(★★★)は、“真打ち”となる現象よりも、“前座”ともいうべき〈音〉のほうが怖い。“真打ち”は自分の身に降りかかることはまずなさそうと思えるのだが、“前座”は自分の部屋でも起こりそうだからだ。
「三段壁」(★)は、偶然“この世のモノではない存在”をとらえてしまったわけだが、本作のような「偶然」が起こる確率はほぼゼロではないだろうか。いくらなんでも「そのタイミング」「その位置」に映りこむのは信じがたい。「信じがたい映像」を紹介するシリーズであることは重々承知しているのだが……。
「シリーズ監視カメラ 非常階段」(★★)の映像に映る現象は、ありふれたものではあるけれど、なかなか興味深い。映像だけを観ていればそれなりに恐ろしいのだが、ナレーションで語られる経緯らしきものが興を削いでいるように思う。つまり、ちょっとムリがあるのではないか。ナレーションはスタッフの想像であって“真実”かどうかはわからない、と解釈すべきかもしれないが、いずれにしても蛇足の観は否めない。
「山道の車」(★★★)は、山道で見つけた不気味な車、という状況だけで成立しているように思う。案の定、“何者か”が現われるのだが、むしろ現われないほうが怖かった気がする。もっとも、なにも起こらなければ、映像が紹介されることもないわけだが。
「婚姻届」(★★)は、理屈では説明のつかない現象が起こった——という事実より、“それ”が婚姻届と一緒に映像に映りこんでいる点が恐ろしい。映像に映るふたりの結婚になにか因縁めいたものがあるならまだマシで、もしもなにもないのなら、これほど迷惑は話はない。
「秘密基地」(★★)に映りこむモノは不気味だが、〈出現域制御〉の問題があり、素直に受け入れることはできない。ナレーションが語る背景もニセモノっぽさに拍車をかけているようにも思う。
この記事へのコメントはありません。