[演出:藤本 裕貴/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江充、岩村修/演出補:男鹿悠太、久木香里奈/構成:藤本裕貴、田中翔/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2022年6月8日発売]
- 「墓参り代行サービス」★★
- 「誰?」★★★
- 「ナガレモノ-前編-」★★★★
- 「徘徊」★★★
- 「シリーズ監視カメラ 万引き」★★
- 「お迎え」★★★
- 「ナガレモノ-後編-」★★★★
『96』から夏の三部作「ナガレモノ」(★★★★)がスタート。不気味で禍々しいアイテムを発見するところから物語が始まり、興味を引かれる滑り出しとなっている。怪現象そのものに目新しさはないが、話の運びはスムーズで、情報の出しかたも的確だ。なかなか見ごたえのある仕上がりになっている。
「墓参り代行サービス」(★★)は、撮影された場所が墓地で、異形の現われかたも類型的。まさに絵に描いたような心霊映像といえる。もしかすると、生きているふつうの人間がひょっこり顔を出した、と解釈できないか? と一瞬考えたが、そうすると位置が不自然で、やはりこの世のモノではないという結論になる。その妙な“納得感”が本作の魅力といえるかもしれない。
「誰?」(★★★)は、心霊スポットで撮影されており、何度となく目にしてるようなシチュエーション。しかし、肝となる怪現象は意外に珍しいかもしれない。恐怖というより不可解さ、居心地の悪さをおぼえる点が新しい。
「徘徊」(★★★)は、地下歩道という舞台が観る者の心をざわめかせる。映像を見ているぶんには、怪現象にそれほど恐怖をおぼえないが、実際に自分が投稿者の立場だったら……と想像すると、なんとも嫌な気分にさせれてしまう。ナレーションで語られるいわくを加味すると、忌々しさが募っていく。
「シリーズ監視カメラ 万引き」(★★)は、地味な現象でシリーズの初期の味わい。その意味で“ボツ”にしてもよさそう——と思ったのだが、怪異の“始まり”と“終わり”がしっかりと記録されており、じつはかなり貴重な映像である。そんな考えかたもできる。
「お迎え」(★★★)の核心となる現象は、特筆すべきものではないことはたしかだ。しかし、シチュエーションからそこはかとなく哀しみが漂う。タイトルやナレーションで語られる背景がやや説明過多の観もあるが、独特の味わいを持った一作であることも事実だ。
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