[監修:児玉和土/プロデューサー:佐々木良夫/音楽・音響効果:荒井佑/2019年7月2日リリース]
- 密着取材 ★★★
- 恋愛情報商材 ★★
- 魔窟3 袋 ★★★
『22』は全体的にけっして悪い出来栄えではない。いや、シリーズとしての質は保たれている。しかし、どこか物足りなさも感じる。贅沢な悩みともいえるのだが……。
「密着取材」は、卒業制作のためにルポライターをしている義姉の日常を撮影していると恐怖の体験をする。構成は卒なくまとまっており、撮影者が命の危険にもさらされるので、その意味での恐怖度は高い。ただ、真相はどこかで見たような代物で、もっと目新しさがあれば良かったのだが。
「恋愛情報商材」は、女性を口説くテクニックを紹介するビデオ。映像そのものにどこか妙な“おかしみ”が漂う。そこは興味深いのだが、本シリーズの趣旨である“闇”を見せるものとは少しちがう気がする。なにが起こったのかワケのわからないところは、まさに“闇”なのだが、もう少し恐怖を覚える“なにか”がほしかったところ。
「魔窟3 袋」は、本シリーズでおなじみの廃墟で、例によって若者が怪異に遭遇する。いったいここにはどれだけの異形が巣くっているのか。それとも、おなじ場所にように見えて、じつはパラレルワールドなのか……。ひとつの廃墟でさまざまな怪現象が起こるのは興味深い。今回も、不気味な女の異形が現われ、しかも終盤で直接な“攻撃”をしかけてくるので恐怖を覚える。ただ、中盤でももう少し怖がらせてほしかったという想いもある。(まったく蛇足だが、本作の“女”は、オムニバス映画『コワイ女』の「鋼」に登場する“女”を彷彿とさせる。)
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