[監修:児玉和土/プロデューサー:佐々木良夫/音楽・音響効果:荒井佑/2020年3月3日リリース]
- パチンコ店 ★★★
- 廃墟ドッキリ ★★★
- 別荘 ★★★
相変わらず卒がない手堅いつくりで、安心感を覚える。ただ、「安心感」はホラーとの相性がよくない。本シリーズへの期待値は他のシリーズよりも高いこともあって、この『24』はやや“不完全燃焼”の観も否めない。
「パチンコ店」(★★★)は、自殺者が絶えないトレイがあると噂されたパチンコ店。その廃墟を雑誌の取材で訪れた男女が不運に巻きこまれる。予想外の方向に話を転がせながら、“霊的”な空気をじっくりと充満させていく。その手腕は見事。ただ、「予想外」は本シリーズでは“予想内”であるため驚きが少ない。〈現象〉にもうひと工夫あればよかったのだが。
「廃墟ドッキリ」(★★★)は、廃墟を訪れた若者たちが友人を驚かせようと目論むが、予想外の出来事を体験する。最近の本シリーズに見られる“ワンアイデア”のエピソードのように思えるが、そのわりには尺が長い。肝心のアイデアも凡庸といわざるをえない。廃墟を舞台にしているため良質な緊張感があり、展開にも手抜かりはないが、やはり〈現象〉にもう少しこだわりを見せてほしかったところ。
「別荘」(★★★)は、死んだ叔母の別荘に遊びにやってきた女子大生が怪異に遭遇する。剣呑なムードをじわじわと盛りあげていき、投稿者たちを一気に恐怖のドン底に突き落とす。その焦燥感を演出する手腕は大いに評価したい。ただ、やはり〈現象〉がありふれており、もうひとひねりしてほしかった、というのが正直な感想だ。
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