[監修:児玉和土/プロデューサー:佐々木良夫/音楽・音響効果:荒井佑/2018年12月4日リリース]
- 死神 ★★★★
- 滑り台 ★★★★
- 洞窟 ★★★★
この『20』に収録された3作は、いずれも完成度が高い。シリーズのファンは安心して観ていられる出来栄えだ。
「死神」は、テレビ番組のロケハンのため、廃墟となった精神病院を探索する。本シリーズで幾度となく繰り返されてきた廃墟モノ。展開そのものはじつは凡庸なのだが、伏線が巧みにちりばめられ、情報も適度に配置されていて無理がない。ジワジワと恐怖感を煽ることに成功している。あえてワガママを言わせてもらえるなら、“真相”がそういうことなら、もう少しそれらしい“なにか”があっても良かったかも。
「滑り台」は、深夜の公園でカップルが撮った映像に異変が記録される。本作は長尺のエピソードにはさまれた短編で、ワンアイディアで勝負に出ている。現象そのものは画期的というほどではないが、やはりタイミングや段取りが完璧。一見、筋が通っているようで、よくよく考えると意味がわからない。その不条理さの匙加減が絶妙だ。
「洞窟」は、地質調査中に洞窟に落ちてしまった男たちの悲劇を描く。なかなか珍しいシチュエーション。生死がかかった状況だけに、観ている側も息苦しさを覚える。そこへ、まさに人間の心に巣くう“闇”と、怪奇伝承が絡み合っていく。伏線の張り方や話の進め方も見事で、最後まで目が離せない。
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