[プロデューサー:小田泰之/編集・構成・演出:Team XXX/音楽・音響効果:ボン/編集・MAスタジオ:スタジオミック/製作:アムモ98/2018年10月5日リリース]
『13』は、なんの変哲もない〈道路〉にまつわる話が中心となる。そして、(ややネタバレになるが)怪異を読み解く鍵は〈ドッペルゲンガー〉だ。ドッペルゲンガーそのものが怪現象であり、けっして合理的な説明のつけられるモノではないが、怪奇映像に慣れしたしんだ者ならば、納得のいく現象ではある。つまり、そこで恐怖は感じない。しかしながら、ドッペルゲンガーの背後にまた別の怪異が潜んでいるとおぼしい。そのとらえどころのない点に恐怖が生まれている。
歩く自殺者
自殺の様子を撮影してしまうが、そのあと常識では考えられない出来事に遭遇する。自殺は異界の現象であり、それを偶然とらえてしまった、と解釈するのが妥当だろう。そう思いながら映像を見直すと、自殺した張本人は人の動きをしていないように見える。
0時
とくにいわくがあるとも思えない〈道路〉で怪現象が起こっている。ということは、〈道路〉ではなく別のなにかにいわくがあると想像できる。本作だけでは、その「想像」の域を出ないが、別の投稿映像を見ると「想像」は確信に変わる。
尋ね人
映像に記録された怪現象は恐怖を催すものではない。しかし、やはり別の投稿映像の事情に鑑みると、呑気にかまえてはいられない事態が起こっているようだ。短い時間にさまざまな要素が錯綜して生じており、全容をとらえるのは難しい。つまり、投稿映像ではなく、フレーム外にとてつもない“闇”が広がっているのを想像できてしまうのだ。
上階の住人
本作はほかの投稿映像とまるで無関係の現象をとらえているようにも思える。だが、投稿者の話を聞くと、じつは奇妙な“線”でつながっていたことがわかる。しかもその“線”は、別の怪異ともつながっているらしい。自分の住む部屋がいつの間にか異界と“線”でつながっていた。自分の身に降りかかったら……と想像すると恐ろしい。
占い師の予言
撮影場所は問題の〈道路〉で、否応なしに別の投稿映像との関連を想像させる。現象そのものは怖いものではないとしても、関係者の行く末を思うと同情を禁じえない。「あんまり怖くないな」で済ませてはいけないわけだ。
死人合わせ
すべての元凶とおぼしき存在がカメラにとらえられる。そのカメラが自宅のドアフォンである点に“逃げ場のない”恐怖を感じさせる。偶然に映りこんだというより、なんらかの意図を持っているとおぼしく、ほかの投稿映像も含めた一連の怪異もまた意図的だったと想像させられる。異形の悪意が透けて見えてしまうところが恐怖だ。
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