[プロデューサー:小田泰之/編集・構成・演出:Team XXX/音楽・音響効果:ボン/編集・MAスタジオ:スタジオミック/製作:アムモ98/2018年8月3日リリース]
この『12』の投稿映像が撮られた場所は、いずれも〈水〉が関係している。海辺や海に近い場所、あるいは湿気の多いところで怪異に出合っているのだ。一方で、ある投稿映像では「霊道」と呼ばれる存在が話題になる。これらの要素をもとに想像をふくらませると、霊がいる世界はきわめて水気が多いか、あるいは水のなかにあるのかもしれない。
パノラマ
海辺で撮影された映像に怪異が映りこむ。そこはただの砂浜ではなく、なんらかの“儀式”が行なわれたとおぼしい痕跡がさりげなく映されている。投稿者たちは異界へと通ずる道に図らずも足を踏み入れてしまったのかもしれない。そう思うと、現象そのものは恐ろしいものでないが、薄ら寒いものを感じてしまう。
死者は二度死ぬ
本作が撮影された場所は〈水〉とは無関係に思える。しかし、別の投稿映像に鑑みると、われわれやスタッフの知らないところで“いわく”があるのかもしれない。なんの“いわく”があるのかわからないところは、とても厄介だ。おなじような現象がどこでも(自分の部屋でさえも)起こりうることになる。
潮騒
タイトルが示すように〈水〉が関連している。ただ、ほんとうに撮影場所が潮(=海)に近いかは不明。やはり別の投稿映像を観るかぎり、湿気の多い場所だった可能性は高い。自分たちのいる部屋の一部が異界と化す。この現象もさることながら、そこで死者とおぼしき人物が苦悩する姿を見せられるのは恐ろしい。
4290No.XXX
いわくつきのビデオテープに収められた映像。そのいわくから予想したとおり、異界を映したとおぼしい。内容は支離滅裂だが、観る者は本能的に危険な匂いを嗅ぎとる。“警告”に逆らってまで観てはいけなかったのだ。
トンネル
あきらかに湿度の高そうなトンネルに異形が現われる。まさにこのトンネルは「霊道」というわけだ。異形はこの世のモノではないのはあきらかだが、かといって“死んだ者の霊”でもなさそうだ。ではなに? と疑問が浮かぶが、答えを導き出す材料はまったく得られない。
マリアナ・ウェブ
インターネットで発見された映像。どう考えてもこの世の様子を映したようには見えない。となると、われわれが見ているのは異界の姿ということになる。異界は、インターネットという“海”の奥底に存在しているのだろうか?
この『12』に収められた投稿映像を通して観ると、「霊道」から「霊界」へたどりつく道程を示しているように思える。
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