[演出:福田陽平・川居尚美/構成:福田陽平・川居尚美・新津徳也・美濃良偲/ナレーション:中村義洋/2018年8月3日発売]
- 「踏切」★★★
- 「獅子舞」★
- 「休日」★
- 「続・ずっと一緒 前編」★★★★
- 「ゆれる」★★★★
- 「シリーズ監視カメラ 中古車」★★★
- 「排水溝」★★★★
- 「続・ずっと一緒 後編」★★★★
この『78』は、パート76~77のように「初見でわからない」作品も含まれている。一方で、工夫の凝らされた映像もあり、本シリーズの面目躍如といった仕上がりになっている。
前パートからつづく長編「続・ずっと一緒」(★★★★)は、若者の色恋沙汰から、歪な〈愛〉のお話へ発展していく。本シリーズにおいて、〈死〉はあたりまえのようにあつかわれているが、本作のそれは観ている者の胸を締めつける。心霊ドキュメンタリー作品としては珍しいアプローチだ。
構成は洗練されていて、観ていて飽きることはないが、あまり〈恐怖感〉を覚えないのが惜しい。背筋が凍るような要素を付けくわえる余地は十分にあったようにも思うのだが。
「踏切」(★★★)は、幽霊が出ると噂される踏切で撮影された映像。そこに現われるモノは、ほんとうに人が立っていたのではないかと思われるほどの実在感がある。投稿者は死の危険にもさらされており、なかなか恐怖度が高いエピソードといえる。
「獅子舞」(★)は、獅子舞の様子を撮っていると不可思議な映像が記録されてしまう。ただ、初見ではわからず、よく見つけたなと思ってしまうほど微妙な怪異だ。
「休日」(★)は、ミニバイクに乗る娘たちを撮影していると、あの世のモノとおぼしき姿が映りこむ。やはり初見で見つけるのは至難の業。〈出現域制御〉の問題もあり、“霊”の出現するタイミングがきわめて恣意的といえる。
「ゆれる」(★★★★)は、だれもいないはずなのに勝手にブランコが揺れはじめる。「はいはい、どうせ霊が動かしてるってオチでしょ?」と高をくくって観ている者の意表を突くように、〈それ〉が出現。よくある怪談・都市伝説に本シリーズらしい味つけをほどこした良作だ。
「シリーズ監視カメラ 中古車」(★★★)は、車にいたずらする犯人をつきとめようと監視カメラを設置。“霊”とおぼしきモノの仕業であることがわかる。現象そのものはありふれているが、どこか往年のドリフターズのコントを彷彿とさせる。それが制作者の意図どおりだとしたら、なかなか興味深い作品といえる。
「排水溝」(★★★★)は、風呂場から聞こえる怪音の正体を探ろうとしていると、とんでもないモノが撮れてしまう。よくよく考えてみると、ごくせまい範囲で起こった些細な異変なのだが、恐怖度はこのパートでもっとも高い。“音”の意味がわかると、さらに恐ろしさが際立つ。
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