[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2018年12月5日リリース]
- 「トレーニングの代償」◆◆
- 「心霊スポット案内人」◆◆
- 「隣人トラブル」◆
- 「ピアノ発表会」◆
このパートでは、われらが田中さんは出演せず、『32』にも登場したスタッフ・玉置さんが活躍する。feat.TAMAKIといった趣で、制作陣には真面目に怪奇現象を見せようという思惑はない。あくまで玉置さんを中心とした若手スタッフの“ドジっ子”ぶりを堪能するのが、このパートの正しい嗜みかたになる。本格的なホラー・ドキュメンタリーの味わいを期待していると、当然ながら肩透かしを食らってしまうだろう。
「トレーニングの代償」は、投稿者もどこか不誠実で、作品にいかがわしいテイストが加えられていて悪くはない。ただ、怪異の表現に力を入れていないにしても、二番煎じでもよいから、ひとつでも「おっ!」となるような描写がほしかった。そうすることで、スタッフの無能ぶり(失礼)のおかしみが際立ったはずだ。
「心霊スポット案内人」は、表題作であるがゆえに、本シリーズのジンクスにしたがって期待していなかったのだが、案の定、不完全燃焼の仕上がりになっている。玉置さんのふるまいは楽しく、そこがこのエピソードの白眉ではあるのだが、やはり怪奇現象の部分が弱いと、作品全体にピンボケ感が漂ってしまう。
「隣人トラブル」は、先の2作にくらべると、今度はスタッフの挙動が平々凡々で面白くない。心霊現象の表現が雑なのは持ち味だとしても、“隣人”に対してスタッフがやらかしてしまうような展開があっても良さそうなのだが、意外にあっさり終わってしまう。“遊ぶ”余地はそこかしこに転がっていたようにも思えるのだが。
「ピアノ発表会」は、怪異の背景や設定をつくりこんでおり、本パートのなかでもっとも誠実な出来栄え。ただ、お話が理屈めいていて、無難にまとまっているぶん、恐怖感も殺がれてしまっている。メインとなる怪現象そのものは興味深いが、もっと細かい不可解な現象が立て続けに起こったり、事故と考えられているけどじつは他殺で、映像に映りこんでいるのは被害者ではなく……などといった捻りがあったりと、もう一工夫ほしい。
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