[監修:児玉和土/プロデューサー:佐々木良夫/音楽・音響効果:荒井佑/2019年2月2日リリース]
- 自殺を止める ★★★
- 303 ★★★★
- 廃小学校 ★★★
『21』もクォリティは安定しており、安心して楽しめるパートといえる。じつは個人的にもっとも印象に残ったのは『303』で、ここへきてこういうものを持ってくる制作陣の創作姿勢を評価したい(ネタバレ防止のため曖昧な表現になってしまう点をご了承いただきたい)。
「自殺を止める」は、自殺者が絶えない公園をYouTuberが訪れ、タイトルどおり自殺を止めようとするもの。いかにもバチが当たりそうなふるまいで、ホラーとして期待が高まる。投稿者は怪しい男を発見するが、話がいったいどんな方向に転がっていくのか予想がつかず、観ている者はその不安定感に終始ふりまわされることになる。「まさかそんな展開になるとは!?」と意外性を楽しめる一編。
「303」は、心霊番組のロケハンで旅館を訪れたADが怪異に巻き込まれる。ワンアイディアのいわば“一発芸”の作品。一瞬だけ“闇”の扉が開いたといった趣で、だからこそ実際に起こりそうなリアリティにあふれている。
「廃小学校」は、廃校となった小学校で肝試しをする様子をおさめたもの。本シリーズの十八番の廃墟モノである。よくぞこれほどバリエーションを思いつくものだと感心する。怪異の背景にこだわっており、また緊張感も持続する見事な構成と評価したい。ただ、さすがに廃墟の小学校という舞台には既視感が強く、どうしても見た目の凡庸さは否定できない。
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