[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2019年3月2日リリース]
- 「アナログテレビ」◆◆◆◆
- 「浮遊する魂」◆◆◆◆
- 「うらない」◆◆◆◆
- 「都市伝説 赤シャツの男」◆◆◆◆◆
ここのところ不調なパートがつづいていたが、この『39』はシリーズ本来の不気味さ、えげつなさ、楽しさが復活しており、ファンには嬉しい出来栄え。4つのエピソードはそれぞれ独立しているが、じつは元凶は共通しているのではないか、といった深読みもでき、印象深い仕上がりになっている。
「アナログテレビ」は、廃墟のなかを探索していると、部屋のなかにポツンと不自然にテレビが置かれているのを発見する。撮影している場所がそもそも不気味であり、全編に緊張感が漂う。出現する異形もなかなかの恐怖度だ。ただ、のちの取材で怪異の背景があきらかになるが、やや説明的なのが難点。現地の人のコトバやナレーションで語るのではなく、廃墟のなかにそれを臭わせる小道具などが置いてあればよかったのだが。
「浮遊する魂」は、友人の女性の部屋をおとずれた男がなにかをしでかす。シリーズの初期にあった“エロ路線”(というほどでもないが)の一編。撮影者のえげつないふるまいが見どころになる。最後には、これまた絵に描いたような○○が出現。「いくらなんでもそのまんますぎる」と面食らうものの、その臆面のなさがかえってすがすがしい。
「うらない」は、投稿者が怪しい占い師を隠し撮りする。「バレたらどうしよう?」と、撮影者に感情移入しながら焦燥感を味わえる。展開は観る者の想像を超えるものではないにしても、設定が意外に凝っており、鑑賞後の満足感は高い。
「都市伝説 赤シャツの男」は、さまざまな投稿映像に映りこむ謎の男にスポットを当てる。「表題作ほど奮わない」という本シリーズのジンクスを破り、このパートでもっとも評価したいエピソード。とてつもないことが起こる——わけではないのだが、だからこそ日常に忍びこむ怪異といった趣で、なんともいえない不気味さが漂っている。正体がまったくわからないところも、ホラーとしての質を高めている。
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