[構成・編集:KANEDA/演出:KANEDA/ナレーション:中村義洋/2019年4月3日発売]
- 「ブラックバイト」★
- 「覗く女」★★
- 「気づいて」★★
- 「物置小屋」★★
- 「YouTuber」
「オバケ」
「オバケ2」
「ノイズ」
「シリーズ監視カメラ 301号室」
「301号室2」
★★★
本巻から構成・演出がKANEDA氏へと交代。スタッフも一新されている。そのため、これまでとやや作風が異なる印象を受ける。「わざとらしさ」や「これみよがし感」は薄れ、語り口が淡々としているぶん、よりドキュメンタリー色が強くなっている。これが良いのか悪いのかは本巻だけでは判断できない。今後、良い方向に転がることを期待したい。
「YouTuber」「オバケ」「オバケ2」「ノイズ」「シリーズ監視カメラ 301号室」「301号室2」(★★★)は、それぞれ独立した投稿映像でありながら、元凶はおなじであることが判明する。過去のシリーズでも見られた形式だ(この形式を語ることそのものがネタバレになってしまうかもしれないが、本巻においては鑑賞の楽しみを損なわないと判断した)。映像に映る“怪異”はつくりものっぽい。それ自体は作品の趣旨にかなっているので問題はない。久しぶりに「警告」つきの映像が巻末に流れるので、そちらで怖がらせようという魂胆だ。
その映像は過去の傑作(「狂死のビデオテープ」)を彷彿とさせる内容で意欲作だとは思う。しかしながら、あちらとくらべると、どうしても見劣りしてしまう。出現するモノが簡単に予想がつけられ(それは論理的な必然なのだが)、観る者の予想を裏切らないので、うまく恐怖へとつながっていない。「シーツでぐるぐる巻きにされロープで縛られている」「口から血を吐いている」「暴れる足がふすまに当たって揺れている」とか予想外の展開がないと、とうてい満足感は得られまい。
音声を使った部分はそれなりに不気味で評価もできるのだが、やはり過去の傑作(「ニューロシス」)にはかなわない(あちらを超えるのも難しいとは思うが)。
全体的にけっして駄作ではないので、今後のシリーズの展開に注目したい。
「ブラックバイト」(★)は、家族で焼き肉を楽しんでいる様子を撮影していると異形のモノが映りこむ。最近の作品は「初見ではわかりにくい」と批判してきたが、本作はあからさまに異形が出現する。見落とすことはあり得ない。「なにもそんなところに出なくても」とは思うが、その潔さはかえってすがすがしい。
「覗く女」(★★)は、エレベータで仲間たちのやりとりを撮影していると、奇妙な女が撮影されてしまう。現象そのものは、本シリーズではないが既視感がある(「Ghost Sighting at Raffles Place」)。うまく作ってあるとは思う。だが、やはり驚きはあまりない。むしろ一連のやりとりがワンカットで展開するほうを評価したい。
「気づいて」(★★)は、デート中に撮影された映像に不気味な男が映りこむ。どこかで見たような展開——というより、本巻の「YouTuber」から始まる一連の作品とネタが被っている。作品の出来栄えはけっして悪くはないのに、ネタ被りが気になってしまう。
「物置小屋」(★★)は、不気味な物音がする物置小屋を調べていると恐怖の体験をする。いわばビックリ系ではあるが、そこの至るまでにムードを盛りあげているので(猫の鳴き声がよい)、品は下っていない。ただ、驚かせかたが別の心霊シリーズにありそうなテイストになっている(本シリーズならこちらに向かってはこず、その場で突っ立っているほうがふさわしい)。
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