[構成・演出:マキタカズオミ/演出補:江原大介・平山真好・高橋龍斗/ナレーション:中村義洋/2020年12月4日発売]
- 「鈴の音」★★
- 「窓」★★
- 「子ども用カメラ 前編」★★★
- 「フェンス」★★
- 「団欒」★★
- 「子ども用カメラ 後編」★★★
このパートから演出家がマキタカズオミ氏に交代。全体的には前任のKANEDA氏のテイストを踏襲している印象だ。奇をてらった冒険をしないかわりに大きな失敗もしていない。老舗の心霊ビデオシリーズのありかたとしては、ひとつの正解ではあるかもしれない。
ただ、一部の作品に粗い仕事も混ざっており、そこはマイナスの評価になる。
長編「子ども用カメラ」(★★★)は、本パートを象徴しているように思う。すなわち、オーソドックスな怪奇現象といった趣。無難にまとまっているが、目新しさは感じられない。及第点には達しているものの、手放しで評価するのもためらわれる。投稿映像の恐怖度を上げる余地があったようにも思うのだが(「なっちゃん」の造形を不気味なモノにする、など)。
「鈴の音」(★★)は、夜釣りの様子を撮影していると不気味な存在が現われる。実際にこんなことがあったら嫌だと思わせる。その点で恐怖度はそれなりに高い。ただ、これはほんとうに心霊現象の類いだろうか? そんな疑問を抱かせるのも本作のエッセンスかもしれない。
「窓」(★★)は、投稿者の部屋に起こる怪現象をとらえたもの。現象そのものはかなり興味深い。しかし、投稿者へのインタビューでオチを割ってしまっている。そのため恐怖は半減。もっとも怖いのが投稿者の話だった、という本末転倒な結果になってしまった。
「フェンス」(★★)は、心霊スポットとして有名な橋で投稿者たちが恐怖の体験をする。舞台となるのは、心霊モノ好きにはおなじみの場所(だと思う)。なんとなく予想どおりの展開となる。そこに一工夫あれば評価もできるのだが、現われた異形に〈平面像密着〉の問題があり、仕事の粗さにやや興醒めしてしまう。
「団欒」(★★)は、心霊スポットである林を歩いていると奇妙なモノと遭遇する。何もない空間にフッとこの世ならざるモノたちが現われる。出現の決定的瞬間が映像として記録されるという本シリーズでは珍しいパターン。ただし、「そんなことが実際に起こった」という説得力には乏しいように思う。おもな原因は〈異形像微動〉にある。なぜ本シリーズでは、このような出現のしかたが珍しいのかといえば、こんなふうにウソっぽくなってしまうからなのだろう。
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