[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2019年4月26日リリース]
- 「トマソン」◆◆◆◆
- 「撮り鉄」◆◆◆
- 「ビニラー」◆◆◆◆
- 「怨送り」◆◆◆◆
前巻に引きつづき、この『40』もシリーズの持ち味を活かした楽しい作品がそろっている。奇抜なアイディアが盛りこまれていたり、目を瞠るような展開があったりするわけではないが、クォリティは安定しているといえるだろう。
「トマソン」は、どこにも通じていない階段や意味のない扉など、特殊な建造物を表わす言葉をモチーフにした作品。団地のなかにある〈トマソン〉にまつわる怪異が展開する。本来〈トマソン〉は怪奇現象とは無関係だが、あえてそこにオカルト的なイメージを見出すことによって不気味さが滲み出てくる。なかなか良いところに目をつけたものだ。実際、本作に登場する〈トマソン〉は剣呑な雰囲気が漂っている。展開にやや不可解な点も見受けられるが、続編が予定されているのだろうか。
「撮り鉄」は、無人駅で電車を撮影していると奇妙なモノに遭遇する。「ホラー好きがしっかり選ぶ! 『封印映像』のおすすめエピソード30」で〈梅〉レベルで紹介しているような“1点突破”の作品。本シリーズでは久しく味わっていなかったテイストだ。こういうのばかりでは辟易してしまうが、たまに混ざってくるのであれば、よいアクセントとして楽しめる。
「ビニラー」は、あちこちがビニールで覆われた不気味な部屋で起こった恐るべき出来事をとらえる。得体のしれない“人”の、得体のしれないふるまいが恐怖を高める。このキャラクター造形は大いに評価したい。撮影者が生命の危機にさらされるので、観ているほうも緊張を強いられてしまう。本シリーズらしいオチのつけかたも良い。
「怨送り」は、高校時代の同級生たちに次々と不可解な不幸が訪れる。これまた久しぶりに霊能力者・ジョン氏が登場。話の展開や怪異の背景などは、じつはありふれたものなのだが、そこにジョン氏の活躍が加わることによって、新鮮なおかしみが醸し出される。除霊アイテムなどの“小技”も、本作のクォリティアップに一役買っている。
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