[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2018年5月2日リリース]
- 「ひびわれ」◆◆◆
- 「見えるんです」◆◆◆◆
- 「犬のおもちゃ」◆◆
- 「ひよいくぐり」◆◆◆◆
このパートもクォリティの高い作品がそろい、シリーズのファンは必見となっている。
「ひびわれ」は、珍しい怪現象が投稿者を襲う。本作のように、その場にいる者が肉体的なダメージを被るのは恐怖度が高い。
ただ、本シリーズの持ち味を考えれば、もう少し“えげつない”展開になってもよかった気がする。
「見えるんです」は、最近の作品としては珍しいオーソドックスな心霊現象が発生する……と思わせながら、観る者の予想を上回る結果となる。やはり異界のモノがフィジカルなアタックを仕掛けてくると戦慄する。
ただ、そうなると異形にもう少し実在感があるべきだったように思う(〈顔〉の角度が不自然)。
「犬のおもちゃ」は、上の2作と比べると、どうしても地味な印象を受けてしまう。心霊映像もインパクトが小さい。怪異の背景にはこだわりを見せているが、それがうまく恐怖へつながっていないのが惜しい。
さて、何度か述べているが、本シリーズは表題作が奮わないというジンクスがある。しかし、「ひよいくぐり」は、それに反して『34』のなかでもっとも出来がよい。
「ひよいくぐり」という造語とおぼしきタイトルに伏線を仕込みつつ、怪異のいわくも丁寧に作りこんでいる。それがうまく恐怖を煽っており、「えげつない」映像もしっかり見せる。上の3作にあった欠点は、本作で解消されている。
例によってわがままな注文をつけるなら、〈その者たち〉の姿が映りこんだりしていれば、より恐怖度が高まったかもしれない。
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