[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2020年8月5日リリース]
- 「ぬれよめじょ」◆◆◆
- 「ゴミ屋敷」◆◆◆
- 「指導死」◆◆
- 「暗黒の走者 前編」◆◆◆◆
このパート『49』の特徴は、真面目にホラーをしているエピソードと、“おふざけ”のエピソードが同居している点にある。全編をおなじ態度で鑑賞すると、戸惑いを覚え、人によっては怒りがわいてしまうかもしれない。いかに制作陣の意図を見抜き、視点を切りかえられるかが肝要になる。
「ぬれよめじょ」(◆◆◆)は、映像制作会社のディレクターが女優のオーディションをしていると怪異に巻きこまれる。タイトルから想像できるとおり、物の怪や妖怪の類いをモチーフにしたエピソード。本シリーズの十八番ともいえる方向性で安定感のあるつくりになっている。バケモノの造形はもちろん、「もしかするとこんなことも実際にありえるかもしれない」というほどよいリアリティが魅力だ。
「ゴミ屋敷」(◆◆◆)は、不用品回収業者に務める投稿者が奇怪な出来事に遭遇する。こちらも「実際にありえるかも」という“もっともらしさ”がポイント。かりに記録した事象が心霊現象・超常現象でなかったとしても、自分がその場に居合わせたことを想像すると身震いしてしまう。
「指導死」(◆◆)は、高校のダンス部が練習風景を撮影していると予想もしなかった災難が降りかかる。オーソドックスな心霊現象で、卒のない出来栄え。ただ、本シリーズとしては、やや物足りなさも感じる。もっとえげつない展開になってもよさそうなのだが。
「暗黒の走者 前編」(◆◆◆◆)は、ランニングの練習中、不気味なモノが投稿者たちに襲いかかる。本シリーズでおなじみの霊能力者ジョン氏が登場する——と聞いただけで、本シリーズを観つづけている人はピンとくる。これまでの“実績”から、制作陣に真面目に怖がらせる意図はないのだろうなと想像できる。
それでも、最近はシリアスな路線がつづいているから「もしかすると」という想いが頭をよぎる。しかしながら、核心となる“現象”を見た途端、「やっぱり!」と膝を打ってしまう。久しぶりに〈梅〉のエピソード(スタッフ遊びすぎ!)が楽しめるというわけだ。
ただの“一発芸”ではおわらず、本シリーズとしては革新的な試みも行なわれており、なかなな見ごたえのある一作に仕上がっている。
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