[演出:KANEDA/構成:KANEDA・西貴人/演出協力:菊池宣秀・美濃良偲・藤本裕貴・細沼孝之・マキタカズオミ/ナレーション:中村義洋/2020年7月3日発売]
- 「見てはいけない」★
- 「いるはずのない同級生」★★★
- 「続・黒く蠢くもの 前編」★★
- 「みつけて」★★
- 「シリーズ監視カメラ 外壁工事」★★
- 「失踪」★★
- 「続・黒く蠢くもの 後編」★★
全体的に“箸にも棒にもかからない”という出来栄えではないものの、もう少しインパクトのある映像が2〜3本あると、たたずまいも変わってくるのだが。
問題は、もっとも時間を割いている「続・黒く蠢くもの」(★★)。本シリーズの取材モノは冗長になりがちだが、本作はいたずらに登場人物が増えていき、なにがメインの問題点だったのか、途中で頭が混乱してきてしまう(こちらの理解力が乏しいのかもしれないが)。それでも、恐怖が徐々に増幅していけばいいのだが、残念ながらそういうこともなく、次のパートでどう“落とし前”をつけるのか注目したいところ。壮大な“闇”が広がっていた、という展開になればいいのだが。
それと、川居さんの再登場だけが「ほん呪」らしさを保っているという気もする。
「見てはいけない」(★)は、友人が入浴している様子を隠し撮りしようとすると、撮影者は奇妙な存在に気がついてしまう。たしかに、ナレーションの語るようなモノに見えるのだが、はたしてこれは怪現象なのだろうか? 友人はたとえばケガをしているとかで、実際そんな状態になっていたのでは? 「怪」というためには、ふだん「そこ」がどうなっているかを示す必要があると思うのだが、その映像がないため判断ができない。怪現象ではないと解釈する余地をあえて残しているのかもしれないが。
「いるはずのない同級生」(★★★)は、中学校のイベントを記録した20年ほど前の映像に不気味な存在が映り込む。異形の出現のしかたがよくあるパターン(出現域制御)だが、造形は悪くない。また、展開にひとひねり加えている点も評価したい。
「みつけて」(★★)は、部屋のベランダから何気なく外の様子を撮影していると、あり得ないモノをとらえてしまう。過去作のオマージュのような趣。その意味で新鮮味はないが、それなりに不気味な現象が表現されている。
「シリーズ監視カメラ 外壁工事」(★★)は、自宅のマンションに取り付けた固定カメラがこの世ならざるモノを撮影してしまう。これもよくあるパターンではあるが、異形の出現する決定的瞬間がとらえられているため、きわめて貴重な映像といえるかもしれない。
「失踪」(★★)は、二十数年前、子どもたちが遊んでいる様子を映した映像に恐るべきモノが映り込む。何気ない日常にフッと現われた怪奇といった趣で悪くない。派手さがないぶん、もっともらしさが漂っている。
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