[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2017年3月3日リリース]
- 「地下施設」◆
- 「川釣り」◆◆
- 「差出人不明」◆◆◆
- 「SNS」◆◆
- 「結婚呪い コープスブライド」◆◆
「怖さ」と「面白さ」のどちらを優先するか。じつに悩ましい問題だ。“心霊ビデオ”においてそれらは相反する要素だからだ。『封印映像』シリーズは、後者に重きを置くようになってきたようだ。すなわち、映像作品として面白いことがもっとも重要。結果的に観る者が怖がってくれるのが理想だけれど、そうでなくてもかまわない――。以前からそういうコンセプトだったのかもしれないが、当ブログはこの27作目で確信した。
そういう目で見ると、本作は視聴者をあの手この手で楽しませようという気概にあふれ、全体的に良い仕上がりになっていると思う。
レビューの判断基準が変わったため、上記の各エピソードに付した評価の指標も「★」から「◆」に変更した(『53』から再び「★」に戻している)。
「地下施設」の投稿映像そのものは、まさに虚仮おどし。しかし、怪異の背景として語られる設定と、田中さんらスタッフによる取材シーンの楽しさが、このエピソードを魅力的なものにしている。
「川釣り」は怖いというより、じつは心温まる話。「ほんとにあった怖い話」の鶴田法男監督が撮る“涙モノ”のような趣――と言えば、わかる人にはわかるかもしれない。細かいことだが、女性が驚くタイミングが少し早すぎた。あと1〜2秒のタメがあったら良かった気がする。そこが惜しい。
「差出人不明」は、やや狙いすぎの観もあるが、なかなか作りこまれていて楽しめる。魚眼レンズで撮った画面も良い効果を上げている。「生活感のない家だな」という観る側のツッコミがしっかり伏線になっているのは見事。タイトルの意味も最後にストンと腑に落ちる。
「SNS」も作りこみすぎているので、そのぶん恐怖心は和らいでしまう。しかし、最新のツールを利用した演出は、将来的に新しい怪異の出現を予感させる。
「結婚呪い コープスブライド」は、設定や構成に飽きさせない工夫が施されている。田中さんの活躍ぶりも見どころ。冷静沈着を絵に描いたような田中さんが驚きの声を上げるなんて、尋常ではない事態だ。
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