[プロデューサー:小田泰之/編集・構成・演出:Team XXX/スタッフ:佐々木勝己/音楽・音響効果:ボン/編集・MAスタジオ:スタジオミック/製作:アムモ98/2018年2月2日リリース]
全体的に、映像に映りこむモノにはそれなりに恐怖心を催すものの、内容はオーソドックスで驚きは少ないともいえる。むしろ、映っていないモノ、語られていないコトに〈闇〉が広がっている。
×(バツ)
投稿映像を観るかぎり、なにかしらの〈因果〉はつけられるように思える。この世ならざるモノとおぼしき存在が働きかけてきたのだろうと想像できる。その事実にいくばくかの恐怖を見出せるが、本作のキモは、投稿者たちのふるまいにある。「ほんとうに怖いのは、幽霊よりも生きた人間」という真実を示しているかのようだ。
そこから見る景
本作でもっとも恐ろしいのは、本題である奇怪な現象ではない。不気味な“手紙”のほうだ。見た目の禍々しさは、手紙を書いた人間が持つ精神の〈闇〉を表わしている。当初は、異界のモノが書いた可能性を否定できなかったが、やはりふつうの人間の情念に起因する手紙であったようだ。本作にかぎっていえば、むしろ異形から差し出された手紙だったほうが、まだマシだったのかもしれない……。
樹海で起きたこと
投稿映像から多くの“材料”を仕入れることができる。合理的な説明はつけられないにしても、観ている側はそれなりの“物語”を紡げる。そこから、奇怪さ・不気味さ・不可解さを感じとれるのだが、衝撃的というほどではない。本作のポイントは、終盤で〈恐怖〉でない感情がわきあがるところにある。それも〈マイナス〉ではなく〈プラス〉の感情である点に戸惑いをおぼえる。
窓
心霊ビデオを見慣れていると、よくある現象のように思える。興味深い映像ではあるが、これまでの“心霊ビデオ観”を覆すほどではない。本作もやはり、投稿映像よりもそこに映っていないモノ、語られていないコトに注意を向けたい。そもそもこの映像が撮られた理由はなんなのか? なぜ狙ったように異形にカメラを向けることができたのか? 推測する材料がまったくないだけに、考えれば考えるほど恐怖は大きくなっていく。
七不思議の欠番
「学校の七不思議」という時点で剣呑な雰囲気を感じとれる。投稿映像では、さまざまな怪異が多層的に起こっており、全容がつかめない。「おそらく元凶はアレだろう」と想像できるものの、そう仮定したからといって安心できるわけではない。映像に映らぬモノ、語られぬコトに“答え”はありそうだが、知らないままのほうがよさそうだ……。
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