[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2020年12月2日リリース]
- 「心霊スポット案内人3」◆◆
- 「心霊スポット案内人4」◆◆
- 「自殺の名所」◆◆◆
- 「暗黒の走者 後編」◆◆◆◆
『50』は、これまで本シリーズが培ってきたあらゆる要素が詰めこまれている印象だ。ボリュームはたっぷりで“満腹感”を覚える。過去作のよい部分だけでなく悪い部分も再現されているため、手放しで評価するわけにもいかないものの、“読後感”はけっして悪くない。
「心霊スポット案内人3/4」(◆◆)は、トンネルでの怪異や過去作に登場した「案内人」にまつわるエピソード。玉置氏をはじめとする若手スタッフが活躍する——という時点で、観る側として怖がろうとするのは誤った鑑賞態度となる。いかに「おもしろがるか」が肝要だ。
先の展開がまったく読めないのは、娯楽作品としてセオリーどおりのつくりといえる。奇怪な現象も「これでもか」といわんばかりに怒濤の展開を見せ、“お得感”もある。
惜しいのは、落としどころが意外に凡庸な点。もう少し本シリーズらしく遊んでもよかったように思う。
「自殺の名所」(◆◆◆)は、大学の映画研究会の部室に保管されていたミニDVテープに奇怪な現象が記録。スタッフが謎の解明を試みる。
こちらも若手スタッフによる案件。襟を正して臨むエピソードではない——と思ったのだが、意外にテープの映像はシリアスなつくりになっている。結局は煮えきらない幕切れとなるが、それがかえって不気味さを醸し出している。
「暗黒の走者 後編」(◆◆◆◆)は表題作であり、本シリーズとしては珍しい続きモノ。『50』のメインディッシュといえる。
なかなかスケールの大きな話へと広がっていき、スタッフたちが危険な状況に追いこまれる。最近の本シリーズにはなかった異例の緊迫感が漂う。パート「50」という節目にふさわしい、まさに集大成となる作品。現象そのものは目新しいものではないが、それでも観る者を満足させてくれる。
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