心霊・恐怖・衝撃・戦慄の映像を分析

  1. ほんとにあった!呪いのビデオ

ほんとにあった!呪いのビデオ94

[構成・演出:マキタカズオミ/演出補:江原大介・中村真沙海・久木香里奈/演出協力:菊池宣秀・藤本裕貴/ナレーション:中村義洋/2021年10月6日発売]

  • 「卸売りセンター」★★★
  • 「ベランダにて」★
  • 「顔顔顔」★★★
  • 「続・おまじない 前編」★★★
  • 「トリックアート」★★
  • 「教授の娘」★
  • 「梨狩り」★★
  • 「続・おまじない 後編」★★★

『94』は、最近ありがちだった「初見で怪異を見つけられない」映像はほとんどなく、“恐怖の平均点”はわずかながら上がっているようにも思う。とはいえ、もう一押し、もう一工夫あってもよかった、という想いも抱く。

また、ナレーションで映像の恐怖度を補おうとしているのか、説明過多の印象を受ける。かえって恐怖を削いでいるケースも多く、改善の余地がありそうだ。

長編「続・おまじない」(★★★)は『92』の続編。尺が長く、冗長さも感じるものの、登場人物の関係を頭の中で整理しながら視聴するのにはちょうどよい時間かもしれない。映像そのものは恐怖を感じるものではないが、リアルタイムで“呪い”が進行しているとおぼしき状況は、なかなか不気味といえる。

久しぶりに「警告」つきの映像も紹介されるが、虚仮威しだったのは残念。過去作のオマージュの趣もありながら、あちらのほうが恐怖度はずっと上だった。

卸売りセンター」(★★★)は、投稿者の息子が卸売りセンターでカメラを回していると、不気味な存在が映り込む。最初は何の変哲もないモノと思わせておきながら、じつはそれは異形だった、という展開は興味深い。パートの“つかみ”としてよい出来栄えだ。

ベランダにて」(★)は、不動産会社に務める投稿者が物件を紹介する映像を撮影していると、奇妙なモノが記録される。映像に映る現象とナレーションで説明される背景、いずれも理屈っぽいところが恐怖感を削いでいるように思う。ナレーションの内容をもう少し観る者の想像が広がるものにするか、映像をもっと不気味な仕上がりにしてもらえればよかったのだが。

顔顔顔」(★★★)は、投稿者不明の映像で不可解な状況が撮影されている。興味深い現象といえる一方、本シリーズのテイストではない気もする。作品としてはよく出来ているので評価するが、お気に召さない視聴者もいるかもしれない。

余談だが、まったく同名のエピソードが別シリーズにある。

トリックアート」(★★)は、トリックアートの会場にある鏡張りの迷路で不気味なモノをとらえてしまう。映像に映る存在がひと目で“あの世の住人”とわかる点は評価したい。ナレーションの説明は、うまく恐怖を付加している部分と、情報過多になっている部分があり、余分な要素をカットすればもっとよかったかと思う。

教授の娘」(★)は、教授が自室でオンライン講義を行なう様子を撮影した映像に不可思議な人物が映り込んでいる。何度となく見慣れたパターンの現象で、あまり恐怖を覚えない。典型的な〈出現域制御〉でもあり、手垢がついている。単純に最初からそこにずっと映り続けているだけでも怖くなりそうなのだが。

梨狩り」(★★)は、投稿者が幼少のころ梨狩りを楽しむ様子を撮影した映像に奇妙な存在が現われる。異形は何度か映像に映り込み、初見ではわかりづらいところもあるが(というよりこじつけでは?)、造形はなかなか不気味。ただ、やはりよくあるパターンで、恐怖感を抱くまでには至らない。ナレーションによる後押しも悪くはないが、異形がもっと不気味に蠢くとか、映像そのものの恐怖を追究してほしかった。

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