[演出:KANEDA/構成:KANEDA・西貴人/演出協力:菊池宣秀・美濃良偲・藤本裕貴・細沼孝之・マキタカズオミ/ナレーション:中村義洋/2020年6月2日発売]
- 「異世界」★★★
- 「公衆トイレの不審者」★★★
- 「黑く蠢くもの 前編」★★
- 「ビル火災」★★
- 「物怪」★★★
- 「船上」★★
- 「黑く蠢くもの 後編」★★
低迷がつづいた本シリーズも、このパート『87』でやや盛りかえしてきた観はある。映像に漂う緊張感が全編にわたり持続するのは、“腐ってもほん呪”といえる底力かもしれない。
長編取材モノ「黑く蠢くもの」(★★)も、ここ最近の低調ぶりから考えると、投稿映像がそれなりに不気味で健闘してはいると思う。ただ、例によって現象そのものより“人間関係”にスポットがあてられる。本シリーズの王道といえるつくりではあるものの、凡庸さもまた否めず、期待値はどうしても低くなる。演出補・上田氏のふるまいがあとで利いてくるなどすると良いのだが……。
「異世界」(★★★)は、心霊スポットのトンネルで噂どおりの行動をとると怪異に巻きこまれる。現象そのものはありふれているが、なかなかの臨場感で恐怖度は高い。スマホのカメラで撮った映像だと思われるが、肉眼ではどのように見えていたのか気になる。
「公衆トイレの不審者」(★★★)は、夜中の公衆トイレで起きた怪現象を撮影したもの。映りこむのはあの世のモノとおぼしいが、かりに生きた人間の仕業であっても——むしろそちらのほうが——恐ろしいのがポイント。
「ビル火災」(★★)は、火災現場を撮影していると奇妙な現象が記録される。事前に映像の内容が説明されるが、初見では見逃してしまった。過去作ぐらいはっきりしていれば、もう少し評価できたかもしれない。
「物怪」(★★★)は、親戚同士が食事をしている風景をなにげなく撮った映像に異形が現われる。「よくある出現パターンだな」とマイナスの評価をするか、「でも異形の造形とふるまいは良くできているな」とプラスの評価をするか、意見は分かれそうだ。当ブログはあえて後者の立場に立ちたい。
「船上」(★★)は、とある島を観光した際、船の上であたりを撮影していると異様なモノが映りこむ。これもよくある出現パターン。カメラのそばで飛んでいる鳥たちの姿のほうにインパクトがあり、怪現象の印象が薄れてしまった。
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