[演出:坂本一雪/構成:坂本一雪/ナレーション:中村義洋/2003年6月21日発売]
- 「線路に佇む人影」★
- 「公衆トイレ」★
- 「エレベーター」★★
- 「曰くの物件」★★★
- 「謎の影」★
- 「ランドセルの少女」★
- 「夜に現れる手」★
- 「廃線トンネル」★
このパート11から演出家が坂本一雪氏にバトンタッチ。ちらほら良作が現われはじめる。とくにパート11は「曰くの物件」(★★★)が秀逸。のちに類似した作品が登場し、そちらのほうが出来がいいので相対的に本作の評価を下げざるをえないのだが、シリーズ低迷期において“救世主”のような傑作といえる。
「線路に佇む人影」(★)は、電車の最前部から撮った映像。異形の現われかたがあまりに稚拙である。パート8の「地下鉄」とネタがおなじだが、あちらのほうがまだ洗練されていた。
「公衆トイレ」(★)は、ホームレスが焼け死んだという噂のある公衆トイレで撮られたもの。記録された怪異は、光の加減のようにも見える。こういうのはもう少しはっきり出てきても良いのではないか。
「エレベーター」(★★)は、マンションのエレベーターで起こった怪現象。地味ではあるが、自分の身にふりかかったら、なかなかの恐怖だ。ただ、「ほかにだれもいなかった」という投稿者の言葉を鵜呑みにしてもいいものかどうか……。
ほんとにあった!呪いのビデオ「エレベーター」 – YouTube
「曰くの物件」(★★★)は、不動産屋と部屋探しをしながら撮った映像。あきらかにその場にいたモノを映している。その意味でホンモノらしさがある。フレームからはずれると姿が消えてしまうが(出現域制御)、そのまま残っていても怖かった気がする。ちょっとカメラを振りすぎなのは気になるが。
ほんとにあった!呪いのビデオ「曰くの物件」 – youtube
「謎の影」(★)は、友人たちとわんこそばを食べる競争をしている様子をとらえたもの。本人の〈影〉だと思ったが、リプレイ&アップにしてみるとあきらかにちがった。
カメラの微妙な揺れとは無関係に影が細かく動いており(異形像微動)、その場にいたモノではなく、あとから合成した像と考えるのが自然だ。
「ランドセルの少女」(★)は、ドライブの途中で立ちよった河原で撮られたもの。投稿映像がやたら長いが、会話の内容が洗練されており、まるで台本があるかのよう。投稿映像のなかの会話と、その前のインタビューは内容がかなり被っており、インタビューのほうは適当に刈りこむべきだったのではないか。投稿映像の異変はそこそこ楽しめるが、もう少し動いたりしても良かったと思う。
「夜に現れる手」(★)は、いびきの治療のために自分の眠る姿を映したもの。現象として地味であり、あまり怖くない。それに、怪異が画質を変えなければ見えないのはいかがなものだろう?
ほんとにあった!呪いのビデオ「夜に現れる手」 – YouTube
「廃線トンネル」(★)は、廃線のトンネル跡で撮影された映像。奇妙な〈声〉がたしかに聞こえるが、空耳のようでもある。
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