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[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2020年6月3日リリース]
- 「開封動画」◆◆◆
- 「おうまがどき」◆◆◆
- 「癒しの滝」◆◆
- 「単身赴任」◆◆◆◆
『47』もクォリティーは安定している。出来の悪いエピソードは含まれていない。観る者の期待に応えてはいる。
ただ、ホラー作品において「安定」は厄介だ。とくに『封印映像』との相性は悪い。「テストで120点を取るくらいの勢いだったが、結果は合格点ギリギリの70点」というのが本シリーズの持ち味なのだが、今回は「100点を狙って80点」と、いわば“守り”に入っている観が否めない。以前のパートより点数は高いものの「らしくない」。「メインの料理のあとに〆の一品を食べたい」「デザートになにかちょうだい」と、“満腹感”を覚えるまでには、あと一歩といった感じなのだ。
一方で、これは『45』から始まったシリアスな“恐怖路線”を踏襲しているからこそ起こること。むしろ歓迎すべき制作姿勢であることも事実だ。次の『48』の予告を観ると、本シリーズらしい仕上がりになることが予想でき、この『47』は“箸休め”のような役目を果たしているのかもしれない。
「開封動画」(◆◆◆)は、購入したばかりのイヤフォンの箱を「開封」し試聴する様子を撮影していると、恐るべき事態に巻きこまれる。王道ともいえる心霊現象に、『封印映像』らしい味つけの“現象”がプラス。投稿者が肉体的なダメージを受けるので純粋に恐怖心を覚えるし、かといって決してやりすぎていないのがポイントだ。
とはいうものの、「王道」の心霊現象は、もう少し恐くできたのではないか? などという想いも頭をよぎる(たとえば“あの世のモノ”が女だったら、また違ったかもしれない)。
「おうまがどき」(◆◆◆)は、不動産会社の社員が家屋を査定する様子を隠し撮りしていると、奇妙な現象が記録される。家の売り主が剣呑な雰囲気を漂わせているのが魅力。このエピソードで起こる現象も「王道」といえる。ただ「王道」は、えてして「凡庸」に転がってしまいがち。「おうまがどき(逢う魔が時)」と禍々しいタイトルがついている割には、現象は小粒な印象を受けてしまう。後述する「単身赴任」のような異形が出現すれば良かったのだが……。
「癒しの滝」(◆◆)は、友人と観光スポットの滝を訪れる様子を撮っていると、友人に異変が起こる。やはり既視感を覚えるシチュエーション。それ自体は制作陣の意図したもので、むしろいわくのほうに注力したエピソードといえる。だとすると、「いわく」をもう少しだけつくりこんでほしかったところだ(滝の名前がダブル・ミーニングになっているとか)。
「単身赴任」(◆◆◆◆)は、夫の浮気の証拠にするために撮影したとおぼしき映像に怪異が映りこむ。『47』でもっとも評価すべきエピソード。怪現象の仕上がり、いわくのつくりこみもバランスが良い。田中さんが出張って原因を解明していきながらも、説明のつかない部分が残り、そこに恐怖が入りこむ余地が生まれている。
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