[監修:鬼塚リュウジン/音楽・音響効果:荒井佑/2021年8月4日リリース]
- 「はんぶん」★★
- 「イマジナリーフレンド」★★★
- 「手相」★★★
- 「かみよもじ」★★★
本シリーズはパート50あたりから「恐怖」路線へと原点回帰していて、この『55』でもそれは継続。“悪ふざけ”は「封印」し、真摯に「恐怖」に向き合っている。その創作姿勢は歓迎したい。
ただ、全体的にもう少しだけ踏み込んでほしかった、という想いもある。観る側のハードルが上がっているのが理由で、作品の出来栄えが悪いわけではないのだが……。長期シリーズの宿命といえよう。
「はんぶん」(★★)は、カップルを盗撮するため近所の森を訪れると、奇妙な存在と遭遇する。異形の造形や出現のしかたなどはそれなりに恐怖を与えてくれる。ただ、ほかのホラー作品でもお目にかかったようなシロモノで、既視感も否めない。恐怖は2段構えになっているが、本シリーズにしては控えめ。もう少し派手にやってもよかったように思う。
「イマジナリーフレンド」(★★★)は、息子が遊ぶ様子を父親が撮影した映像に不気味な存在が映り込む。「イマジナリーフレンド」(子どもが空想する架空の遊び相手)は、いかにもホラーに適した題材。これをどう“料理”してくれるのかが見どころとなる。結果は、本シリーズらしい仕上がりといえるが、もっといろいろな怪現象のバリエーションが記録されてもよかったかもしれない。
「手相」(★★★)は、投稿者と弟、彼の恋人の3人で占い師のもとを訪れたところから怪異が始まる。占い師のいかがわしい雰囲気がよい。投稿者たちが危害を加えられるので、恐怖度が高い。やや説明的な点が見受けられるのはマイナスだが、一方で腑に落ちない部分もあり、そこに薄ら寒い雰囲気が漂っている。
「かみよもじ」(★★★)は、学生たちが歴史調査のために訪れた山で、恐怖の体験をする。じつに意外なところからモチーフを持ってきたな、という印象。最近のシリーズに見られる「モノノケ図鑑」の趣ともいえる。あまり詳細はわからず、そこに“不気味さ”を感じるか“消化不良”を読み取るか微妙なところ。撮影者たちの“被害”も過剰な気もするが、そこが本シリーズの持ち味という考え方もあろう。
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