[プロデューサー:小田泰之/編集・構成・演出:Team XXX/音楽・音響効果:ボン/編集・MAスタジオ:スタジオミック/製作:アムモ98/2018年6月8日リリース]
本パートで取りあつかわれる投稿映像は、いずれもひとりの奇怪な〈女〉が関係しているようだ。〈女〉の正体は不明だが、おそらくはこの世のモノではあるまい。
0チャンネルの幻想
投稿映像には〈女〉の出現と、それとは別の奇怪な現象が記録されている。〈現象〉は〈女〉が起こしたものなのかそうでないかは不明。投稿者の日常にふいに怪異が紛れこんだのではなく、何者かが怪異のお膳立てをしている点が注目される。順当に考えれば、「何者か」は〈女〉ということになる。だが、投稿者がこの件に関わることになったきっかけを考えると、あの世のモノではなく、この世に生きるふつうの人間が、なんらかの邪悪な意志を持って怪異を仕掛けているのかもしれない。
カメラは生きている
本作のビデオカメラに起こる怪現象も〈女〉が関係しているとおぼしい。しかし、本作の映像に映りこむのは〈女〉とは別の人物(おそらく男)である点が不可解だ。〈男〉はおそらく“この世のモノ”ではないことだけがかろうじて想像できるが、では何者なのかといえば、皆目見当もつかない。考察の手がかりとなる材料はまったく手に入らない。本作を観るかぎり、ただカメラの前に現われただけで、害はなさそうなのだが……。
画残り
本作にも複数の奇怪な現象が記録されている。ひとつは、その場にいた人たちが認識できるほどはっきりとした物理現象。それゆえ「勘違い」とか「気のせい」などと片づけられないところが厄介だ。もうひとつの現象も、意味するところがまったくわからず、扱いに困る。なにかの警告のようにも思えるが、それは観る側の勝手な解釈にすぎない。恐ろしい災厄が待ち受けていなければいいのだが……。
雨団地
廃墟と化した団地で奇妙な現象が起こる。われわれは廃墟と怪現象を安直に結びつけてしまいがちだ(「廃墟だから怪現象が起こっても不思議ではない」)。けれども、団地は投稿者の恋人の実家であり、もともと人々が暮らしていた場所が簡単に異形の棲み家になっては困るのだ。もしかすると、怪現象は「場所」ではなく、別のなにかに起因するのではないだろうか?
ドローン聴取
〈女〉がまたしても現われる。ただ、映像は一定の不気味さを持っているものの、それほど深刻な事態にはなっていない。実際、本作はお蔵入りになっていたという。注目すべきなのは、本作が収録されることになった経緯だ。確証はないが、おそらくは〈女〉の働きかけによるものと想像できる。〈女〉の意図を想像すると、なんらかの邪悪な意志が読みとれ、にわかに恐怖心がわきあがる。
形代(かたしろ)
本作も、〈女〉のためにお膳立てをした者がいるようだ。〈女〉自身かもしれないし、やはり第三者が関与しているのかもしれない。というより、本作の投稿映像に記録された所業は、あの世のモノには無理ではないか? かといって、ふつうの人間ができる芸当とも思えない。投稿者はもちろん、スタッフもわれわれもまったくあずかり知らぬところで、〈闇〉が拡大しているのかもしれない。本パートの投稿映像の数々は、その一端を示しているのだろうか。
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