[監修:児玉和土/プロデューサー:佐々木良夫/音楽・音響効果:荒井佑/2020年6月3日リリース]
- しるし ★★★
- 魔窟番外編 記憶 ★★★★
- 魔獣 ★★★
『25』は全体的に“荒唐無稽”という印象を受ける。夢見る子どもの妄想を映像化したような……。しかしながら、本シリーズならではの卓越した構成力と演出力で“もっともらしく”仕上げている。この点を大いに評価したい。
「しるし」(★★★)は、キャンプを楽しむカップルたちに奇怪な現象が襲いかかる。子どものころに読んだ“怪奇物語”の趣がある一編。冷ややかな目で見ると、なんとも馬鹿馬鹿しいお話なのだが、こういった作品を楽しめる感受性は、いつまでも持っておきたい。
「魔窟番外編 記憶」(★★★★)は、例の廃墟でまたしても異様な出来事が起こる。観る者に恐怖心を呼び起こすはずの廃墟だが、ここまでくると“実家のような安心感”を覚える。しかし、映像に記録された出来事よりも、語られていない顛末(犯罪者が逮捕されずにふつうに生活している)のほうがじつは恐ろしいことに気づくと、この作品をより深く味わえる。
「魔獣」(★★★)は、取り壊しが決まった学校の校舎を見回っていると、恐るべき存在を目撃してしまう。本作も子ども向けの“恐怖小説”にありそうなお話。しかし、情報を巧みに小出しにしつつ、小道具なども狡猾に配置。なんとなく納得させられてしまう貫録を持っている。なにが起こっているかは簡単に理解できるが、「とどのつまり、それって何なの?」という根源的な疑問は消えない。そこに恐怖の入り込む余地がある。
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