[演出:藤本裕貴/構成:藤本裕貴、田中翔/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江暁、岩村修/演出補:木勢まりあ、田中翔、小林あかり/演出協力:寺西涼、美濃良偲、菊池宣秀/構成協力:関口さと子/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2023年10月6日発売]
- 「発表会」★★★
- 「形代」★★
- 「NY市街」★
- 「終・鬼女の山 前編」★★★
- 「続・海を歩く足」★★★
- 「ロープウェイ」★★
- 「サッカー観戦」★
- 「続・鬼女の山 後編」★★★
長編「終・鬼女の山」(★★★)は、タイトルから「鬼女」がテーマであることがわかり、『102』の時点で「鬼女」とおぼしき人物もあきらかになっているので、どうしても展開は予定調和になってしまう。ただ、そのぶん(ほのかに謎を残しつつ)物語としてはうまくおさまっていると見ることもできる。部分的には、夜間の探索のシーンなどもあり、適度に緊張感が漂っているので、卒がない仕上がりと評価してもよいだろう。
「発表会」(★★★)は大学の文化祭で撮られた映像に異変が起こる。映像だけをみると意味がわからず不気味なのだが、ナレーションで背景が語られ、途端に“神通力”が下がってしまうところが惜しい。
「形代」(★★)はストーカー被害にあっている投稿者が証拠に残すために撮影した映像。それらしい存在が映り込むものの、それは投稿者の話を全面的に信じれば“この世ならざるモノ”となるが、虚偽の可能性はないだろうか? なぜか出来事の真偽性に疑問を抱いてしまった。
「NY市街」(★)はニューヨークの街並みを撮っていると不気味なモノが記録される。リプレイで指摘されて初めて気づくようなシロモノで、言われてみればたしかにそう見える。ただ、投稿者はどうやって見つけたのか疑問が生じるのだが。
「続・海を歩く足」(★★★)は『102』で紹介された映像の後日談。新たな映像が紹介されるが、件の映像の謎が解けるわけではなく、かえって不気味さが増し、いろいろ想像する楽しみが生まれる点がよい。
「ロープウェイ」(★★)は山間部の観光地で撮影された映像に不気味な存在が映っている。あきらかにヒトではない異形だが、「なぜ“それは”そんなところにいたのか」と、出現場所に疑問が生じる。映像の“真実”はありのまま受け取るしかないかもしれないのだが。
「サッカー観戦」(★)はサッカー観戦の帰り道、友人を撮影した映像に異変が記録されている。なにか合理的な説明がつけられそうではあるが、やはり投稿者がどうやって見つけたのかが気になる。スタッフによって別の怪異も指摘されるが、こじつけの感もある。



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