[構成・演出:菊池宣秀/製作:張江肇、鈴木ワタル/プロデューサー:張江暁、岩村修/演出補:藤本裕貴、男鹿悠太、美濃良偲/調査協力:一ノ瀬マキ/音楽・音響効果:ボン/ナレーション:中村義洋/2024年12月6日発売]
かつて本シリーズを盛り上げた菊池宣秀氏の監督作品。劇場版であり、近年のシリーズを演出している藤本裕貴氏の作品とは味わいの異なる仕上がりとなっている。
投稿映像(厳密には投稿されたものではないが)や劇中で発掘される映像は、剣呑な雰囲気は漂うものの、心霊映像の類はあまり記録されない。怪奇現象には重きを置かず、あくまで生きた人間の怖さに焦点を当てている。しかも、モチーフとなるのは「イタコ」や「降霊術」で、すでに手垢がついた題材だ。その意味では凡作に堕してしまう危険性があり、じつに挑戦的な作品といえる。
しかし、最後まで飽きずに物語世界に入り込めるから、ハードルを乗り越えた良作と評価してよいだろう。
惜しむらくは、決定的なシーンがないことだ。全編にわたり不気味な雰囲気が漂い緊張感は持続するが、感情が大きく揺さぶられる局面はない。たとえば「刃物を持った人物に追い回される」などといった衝撃的な展開があると、より深みが増したのだが。




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